薬物依存は刑罰では治らない 専門医語る「唯一の手段」は

公開日: 更新日:

 元プロ野球選手・清原和博被告の判決が言い渡された。しかし、彼にとっていま最も必要とされるのは、刑罰以上に薬物依存への適切な治療だ。

 日本では、薬物依存を治療対象として見ていない――。こう指摘するのは、薬物依存治療の第一人者である国立精神・神経医療研究センター薬物依存研究部部長の松本俊彦医師だ。

 覚醒剤などの薬物は、使用するにつれ脳が変成され、強い欲求をコントロールできない薬物依存に陥る。薬物依存は、刑罰や入院で薬物から切り離しても、どれだけ薬物の害を説いても、薬物使用を責めても、「治る」ものではない。

 慢性疾患である2型糖尿病に置き換えるとわかりやすい。入院時は高カロリー・高脂肪食と強制的に手を切れる。しかし退院後は、知恵を絞って高カロリー・高脂肪食を手に取らないようにしなくてはならない。

 まわりが「高カロリー・高脂肪食を食べたあなたが悪い」と責めればかえって逆効果で、患者は高カロリー食を食べてしまっても医師や周囲に隠し、あるいは治療をドロップアウトし、病状は進行する。薬物依存も同様だ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは

  4. 4

    柳田悠岐の戦線復帰に球団内外で「微妙な温度差」…ソフトBは決して歓迎ムードだけじゃない

  5. 5

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    ローラの「田植え」素足だけでないもう1つのトバッチリ…“パソナ案件”ジローラモと同列扱いに

  3. 8

    ヤクルト高津監督「途中休養Xデー」が話題だが…球団関係者から聞こえる「意外な展望」

  4. 9

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 10

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?