カブトムシゆかりさん<2>空き倉庫で300匹のカブトムシ養殖
大学を1年で中退してすぐ、ゆかりさんは不動産会社に勤務する。
「とはいえ、父の経営する会社です。市議会議員だった祖父が地元に土地を少し所有していて、その資産管理も行っているような小さな不動産屋さんです。私も含め従業員は4、5人ほどで、そこに4月ごろから勤め始めました。とはいえ、小さくても不動産仲介業ですから、宅地建物取引士などの国家資格が必要でした。そのため、何度か試験を受けたのですが、家業ということもあって勉強に身が入らず、何度も落ち続けてしまい、いまだに受かっていません」
さすがに自分の甘さを痛感したゆかりさんは、一念発起して副業を思いつく。そこは商才に長けた父の娘だ。
「当時、空き家となっていた倉庫物件があり、タダで遊ばせておくのはもったいないと思い、そこでシイタケ栽培をしようと思い付きました。ただし、よく考えてみれば、農協にも登録していないような人が作ったキノコを買ってくれるような人はいない。そのとき、たまたま友人からカブトムシを48匹譲り受けることになったのです」