TVのカラオケバトルを攻略し…好きな音楽を副業から本業に
柳光絵さん(35歳)元の本業=派遣社員
本日紹介したいのは、好きな音楽の仕事を副業から本業にかえた柳光絵さん。柳さんはボーカリストやトレーナーとして、多くのTV番組にも出演している。まずはキャリアから聞いた。
「もともと歌や芸能の仕事に興味があり、中学生時代からフリーでモデルの仕事やライブ活動をしていました。高校卒業後、大手レコード会社の新人開発部に所属。モデルを続けながら、100曲ほどのオリジナル曲を作りメジャーデビューを目指しましたが、生活できるほどの収入にはつながらず、20歳の時に大手派遣会社に登録し、派遣社員が本業になりました」
柳さんは20歳から30歳まで派遣社員をしながら、音楽を副業にした。
「音楽の副業はさまざまでしたが、J-POP、アイドル、演歌、洋楽、アニメなど、曲のジャンル問わず、作曲家さんのコンペ曲の仮歌を主に行っていました。またボーカルとしては関西ペイントさん、かんぽ生命さんなどのCM曲を担当したり、声優の方がリリースしているアルバム曲やアニメのエンディングテーマの作詞を担当しています。収入としては、コーラスや仮歌は1曲で0.5万~2万円ほど。ボーカルは買い取りで3万~15万円。作詞は印税で発売当初は数万円入って、あとは毎年数千円ずつですね。そして、自分自身のライブ活動もやっていました」
派遣社員と音楽活動のダブルインカム時代は、同世代の一般サラリーマンほどの収入であったそうだが、2015年に転機が訪れる。
「歌手の林部智史さんのイベントのお手伝いをした時に、打ち上げのカラオケでMISIAさんの『逢いたくていま』を歌って、その様子を他のスタッフの方がYouTubeにアップしてくださったんです。その映像が少しバズって、堺正章さん司会の『THEカラオケ★バトル』の番組出演のオファーが来たんです」
ボイストレーナーの道へ
柳さんは、15、16年と連続して同番組に出演。TVの効果は大きく、柳さんのブログは1日100アクセス程度だったのが約50倍の5000アクセス近くに。そしていままでは意識していなかったカラオケ採点についても攻略し、コンスタントに100点を出せるようになる。
「TVの反響は大きく“カラオケで高得点を出せるコツ”をよく聞かれるようになりました。そして尊敬する先輩の林部智史さんにも『音楽をやりたいならボイストレーナーの道を歩んでみてはどうか』と後押しされ悩んだ末に、約120人のライブハウスをsoldoutできたら独立しようと決意し『覚悟』というソロライブを企画し、死に物狂いで達成することができました。トレーナーとして、歌手や芸能人の方、一般の方を含めてさまざまな方を教える機会に恵まれ、“先生に出会えて100点が取れるようになった”“歌うことがもっと楽しくなった”“テレビ出演の機会をつかんだ”と言ってもらえることが増え、とても幸せです。今までの音楽系副業も続けています。トレーナーとの相乗効果もあります」
柳さんの発声指導は60分1万円。人気が高くなかなか新規でレッスンを受けるのが難しいようだ。本業だけでも派遣OLの頃よりボイストレーナーの収入の方が高くなった。最近ではインターネット上でライブをする投げ銭アプリでカラオケを歌うコンテンツも人気が出ている。柳さんはKARASTAというアプリの立ち上げメンバーでもある。日本のカラオケ人口は景気後退や娯楽の多様化を経て、現在は約3000万人ほどを推移している。柳さんは根強いカラオケ文化と出合ったことで仕事が広がった。