石塚集
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石塚集

医学系編集プロダクション経営。医学ライター。東洋美術学校・ユーザーエクスペリエンス(UX)担当講師。テクノロジー系勉強会・湯川塾事務局。「AI新聞」副編集長。新宿・歌舞伎町でバーテンダーもしている。

専業主婦が歴史プロデューサー 真田一族好きで観光大使に

公開日: 更新日:

早川知佐さん(44歳)本業=専業主婦(元古書店勤務)

 本日紹介したいのは、早川知佐さん。歴史好きで、特に信濃国の豪族としておこった真田一族の生き方に共感し、造詣を深め、真田一族ゆかりの信州上田観光大使にも就任している。あの「歴女」というコピーも早川さんがモデルになったようだ。まずは歴史との出合いから聞いた。

「子どもの頃、両親が忙しく、よくおばあちゃんに面倒見てもらっていました。おばあちゃんが時代劇が好きで、暴れん坊将軍、水戸黄門、独眼竜政宗、白虎隊などを一緒に見て楽しんでいました。自分からアニメを見たいと言った記憶はあまりないです(笑い)。当時は東京・目黒に住んでいて、時代劇に出てくる神社、長屋、目黒のさんまなどの風情が残っており、近所を散歩しながら歴史と現代はちゃんとつながっていると意識していました。印象深いのは、1987年に放送された日本テレビの『田原坂』で、里見浩太朗さん主演の西郷隆盛の半生を描いた時代劇なのですが、鳥羽・伏見の戦いのシーンで長州軍が出てきた時、父が『あの群衆の中にひいひいじいさんがいた』と言ったんです。まさに歴史と今がつながった瞬間で、よく覚えています」

 その後、さらに歴史にハマり、学生時代は池波正太郎や司馬遼太郎、雑誌の歴史街道などを読み漁っていたそうだ。そして初めての就職で古書店を選び、ある出来事が起きる。

「当時は女性が歴史好きと言いにくい時代でしたが、『逆に早川さんのような歴史好き女子が歴史専門店をつくったら面白い』という社長の一声で、2006年に日本初の歴史専門ショップ『歴史時代書房 時代屋』を東京の小川町にオープンすることになりました。私は最初は企画担当だったのですが、次第に店長となり江戸の蔵づくりのような雰囲気の中で、どっぷりと歴史につかれるお店づくりを心がけ、歴史小説家で大河ドラマの天地人を書かれている故・火坂雅志さんらも招いて講演会なども行っていました。お店の切り盛りはとても大変でした」

講演は1回3万円~10万円

 時代屋には、テレビや新聞の取材なども多く入り、早川さんらを取材したことで「歴女」という言葉ができたようだ。

 そして早川さんは、この頃から歴史に関する活動を副業にし始め、東京神田お茶の水の「レキシズルバー」で初代バーテンダーになる。

「ちょうど、その頃に『真田太平記』を読んで、崖に突き落とされるような衝撃がありました。『いざとなれば損得を度外視できるその性根、世のなかに、それを持つ人間ほど怖い相手はない』これは真田幸村の言葉ですが、真田家は非常にあきらめが悪く、苦境に立たされてもあきらめず、生きるために卑怯と思われることもいとわない強さがあるんです。私の好きが突き抜けました。そこから真田家ゆかりの上田市によく行くようになり、城跡、墓所、古戦場などを訪れて噛みしめております」

 早川さんの歴史好きの人脈は広がり、09年には「BS熱中夜話」のテーマ「戦国武将」にも出演。さらに番組の出演者同士の縁で、中目黒の真田丸という居酒屋さんで、上田市長と引き合わせてもらうことになり、信州上田観光大使就任につながった。最後に副業での収入を。

「12年に結婚して、いまは1児の母でもあります。主婦をしながら歴史関連のことを副業にしています。イベントの企画、講演、執筆、商品やアプリ開発などの企業へのアドバイスなど。講演は企業や商工会議所などから依頼があり、真田一族の話や、三井財閥と商売の基礎などの話などさまざまで1回3万円から10万円くらい。歴史メディアなどへの執筆は原稿料1万円くらいからですね。イベントはコロナ禍で減ってしまったので、いまはまた歴史をさらに深める時期かなと」

 早川さんは歴史上の人物の機微をよく観察されていた。歴史は人間の愚かさや欲望、覚悟を結果としてえぐり出してくる。あらためて歴史の魅力に気付かされた。 

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