「瀬戸内ジャムズガーデン」過疎高齢化の島で雇用を生んだ

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 山口県の離島、瀬戸内海の周防大島で2003年創業の「瀬戸内ジャムズガーデン」。島で栽培されるブルーベリー、柑橘、イチジクなど多彩なコンフィチュール(果実の形状を残したもの)、ジャムやマーマレードなどを手作りしている。島の農家約60軒と連携して作られる季節感あふれるジャムは180種類。売り上げは年1億円。従業員は正社員・パート・アルバイトを入れて26人だ。

 周防大島は人口1万5050人で8706世帯。1970年から人口は半分以下に激減し、高齢化率は51%だ。そんな中、「瀬戸内ジャムズガーデン」は経済効果や雇用を生み注目を集めている。コロナ禍以降も売り上げは落ちていないと、オーナーの松嶋匡史さん。

「通販が5%から20%に伸びて純利益が増えました。売り上げの内訳は、通販2割、パン店などへの販売2割、島の直営店での販売が4割。自ら運営するカフェが2割です」

来客は年間7万人に

 匡史さんは京都出身。島出身の智明さんと大学時代に京都で出会って結婚。匡史さんは中部電力に勤めていた。

 創業のきっかけは新婚旅行で訪れたパリ。食品店で手に取ったのがコンフィチュール。日本にはない独自性に魅せられた。

 匡史さんは、智明さんに島の豊富な果実を使うジャム作りを提案。夫妻で国内のジャム店を巡って試作を繰り返した。販売最初はネット通販と店舗での直販から始め、山口、広島のパン店へと広がった。

 智明さんの実家はお寺。3人姉妹で後継ぎがなく、智明さんの父・白鳥文明さんは娘夫婦の移住を歓迎。将来はお寺の後継ぎにと考えていた。ところがジャム店が繁盛。住職には智明さんが就いた。

 銀行の融資を受けて海沿いにジャム工房とカフェを開設した。6色のジャムのトースト、ジャム入りピザなど若手職人と生み出した多様なメニューと食べる場を提供。海の見える四季の風景も魅力となって島外の人も来訪。来客は年間7万人に。根強いファンをつくった。

酒造免許を取得しレモンチェッロを

 原料となる加工用果実は通常1キロ当たり8円から10円。匡史さんは農家と話し合い、ジャム用果実を栽培してもらうことで1キロ当たり100円以上で仕入れ、スタッフとオリジナル商品をつくり上げた。

 今年、新たなプロジェクトを立ち上げた。酒造免許を取得して、レモンチェッロ(レモンのリキュール)の製造を始めたのだ。

「これも通販が伸びています。将来はレモンの植樹から収穫、レモンチェッロ造りまで体験ができるようにして、島と長期的につながる観光を構築したい」

 松嶋さんはそう目標を語った。

(取材・文・写真=金丸弘美)

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