誤送金“使い切った”24歳無職男から「5116万円全額回収」は可能か? 月5万円返済でも85年
「真実を知るのに近づいた。金を取り戻す足掛かりになってほしい。ギャンブルに使ったというのはにわかには信じられない。どこかに何らかの形で残っていると信じている」
山口県阿武町で給付金4630万円が誤送金された問題。無職の田口翔容疑者(24)の逮捕から一夜明けた19日、花田憲彦町長はこう言って安堵の表情を浮かべた。
逮捕前、田口容疑者は弁護士を通じて「金は海外のネットカジノ数社で全部使った。少しずつでも返していきたい」と返済する意向を示していた。これに対し、花田町長は「素直に喜びたい」と口にしたが、逮捕されたからといって金が返ってくる保証はどこにもなく、一件落着とはいかない。
田口容疑者は1年半ほど前に同町に引っ越してくるまで定職には就かず、アルバイトで得た給料をギャンブルにつぎ込んでいた。
給付金が振り込まれる前の銀行口座の残高は、わずか665円。これといった財産もなく、「空き家バンク」を利用して入居した貸家の家賃は月2万5000円だった。田口容疑者は住民税非課税世帯として給付金の対象となっていたが、「単身者の場合、令和2年の所得38万円以下が支給の条件です」(阿武町戸籍税務課)というから、とても返済能力があるとは思えない。