第2次安倍政権以降、経済格差が広がって自己肯定感が下がり、抗議しない社会になった

公開日: 更新日:

中村文則(作家)

 今年7月の参院選挙期間中、各候補者の演説をユーチューブで見ていた時、質疑応答で聴衆からこんな声が上がった。

「私は将来介護を受けるつもりはない。だから介護保険料を払いたくない」

 正確な言葉ではないが、こういう意味だった。今の社会を如実に表す言葉だと感じたが、このことは後で再びふれる。

 第2次安倍政権以降、経済格差が広がってしまった。社会は共存から対立への傾向がより強くなったと感じる。格差が広がっても自分たち(政権)のせいにしようとしないため、まるで政策ではなく貧しい側が悪いという「自己責任論」を陰に陽に撒き散らすことにもなった。テレビに出る(是々非々のふりをした応援団の)論客たちもそれを後押しした。「社会ではなく私のせい」となるため国民の無意識下の自己肯定感も自然と下がっていく。社会がすさんでいくのは当然と言える(ちなみに安倍政権が失業率を改善させたとするデマがあるが、少子高齢化の影響に過ぎず、旧民主党政権時代から改善が始まっていたのはデータを見れば明らか。安倍政権以降、日本は賃金が諸外国と比べずっと低い)。自己肯定感が下がると自分を責めてしまうから、社会への抗議も減っていく。

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