「関連あり」と報告した中日・木下投手の主治医が語る「我々の知らないことが起きている」
中日ドラゴンズの投手・木下雄介さん(享年27)は、新型コロナワクチンの接種8日後に体調が急変。昨年8月に亡くなった。病理解剖の結果、接種との関係が濃厚とみられる「劇症型心筋炎」を発症していた。
じつは、厚生労働省は心筋炎を「アナフィラキシー」「血小板減少症を伴う血栓症」とともに副反応疑いの注意喚起の対象にしている。米国CDC(疾病対策センター)も、昨年6月11日、ウェブサイトで副反応とみられる心筋炎および心膜炎の症例が「ワクチン有害事象報告システム(VAERS)」に1226例報告されたと公表。その多くが16歳以上の若い男性の症例だった。8割方が回復しているが、一部は重篤になっている。
木下投手の治療に当たった藤田医科大学医学部重症心不全分野教授・簗瀬正伸氏にワクチン接種が心筋炎の原因と考えられる根拠、今回の症例から導かれる教訓について聞いた。簗瀬氏は語る。
「これまで数十例の心筋炎の症例を診ていますが、解剖で確認できた劇症型心筋炎の病理像は、過去の心筋炎の症例とは大きく異なっていました。新型コロナに感染して心筋炎を発症するケースもありますが、それとも違う。最もよく見かけるリンパ球性心筋炎では心臓の広範囲に炎症が均等に広がっていること(びまん性)が多いが、このケースは心臓の一部に強い炎症がある一方、一部には炎症が生じていない。われわれの知らないことが起きている。これらの所見や発症のタイミングから、原因として新型コロナワクチン接種が最も疑わしいと考えました」