小林製薬の「紅麹」はなぜ健康被害を招いたのか…「科学的根拠としては十分と判断」していたはずなのに

公開日: 更新日:

令和の薬害事件」になるのか──。

 製薬、食品業界から、こんな声が漏れ始めた。小林製薬(大阪市)の紅麹を含んだ「機能性表示食品」による健康被害が相次いでいる問題。これまでの調査によると、同社は紅麹を作る過程でできることがある「シトリニン」という毒素を疑ったものの、「シトリニン」は検出されず、紅麹原料の中の「未知の成分」が腎疾患の原因となった可能性が否定できないという。

 死者や入院患者が出ているにも関わらず、未だに原因物質の特定に至っていないのだから状況は深刻だろう。原因が分からなければ、入院患者らの治療方法も見つからないからだ。

 それにしても、大手ともいえる小林製薬がなぜ、「紅麹」を安全と判断したのだろうか。

■安全性、機能性を評価するために採択した文献は1件

「機能性表示食品」は、安全性や機能性などの根拠となる研究論文や臨床試験を消費者庁に届けることで商品の販売が可能だ。同庁が公開している「機能性表示食品」の「科学的根拠等に関する基本情報」(一般消費者向け)を確認すると、小林製薬が届け出た「機能性関与成分名 米紅麹ポリケチド」は「安全性の評価方法」として「喫食実績の評価により、十分な安全性を確認している」とあり、こう書いている。

■関連キーワード

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  2. 2

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  3. 3

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  4. 4

    今なら炎上だけじゃ収まらない…星野監督は正捕手・中村武志さんを日常的にボコボコに

  5. 5

    「高市早苗総裁」爆誕なら自民党は下野の可能性も…“党総裁=首相”とはならないワケ

  1. 6

    志村けんさん急逝から5年、更地になった豪邸の記憶…いしのようことの“逢瀬の日々”

  2. 7

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  3. 8

    広陵辞退騒動だけじゃない!「監督が子供を血だらけに」…熱戦の裏で飛び交った“怪文書”

  4. 9

    広陵野球部は“廃部”へ一直線…加害生徒が被害生徒側を名誉棄損で告訴の異常事態

  5. 10

    (3)阪神チーム改革のキモは「脱岡田」にあり…前監督との“暗闘”は就任直後に始まった