「腕は落とさず、血圧落とす」建設業界で囁かれる…笑えない令和の“上下関係”
「上下関係の厳しい職場だったけど、ここまでとは」
40代の建設作業員が語る。上下関係といっても、怖い親方の話ではない。いまでは上が140で下が90の血圧が怖いという。
「これが令和の“上下関係”だね」
建設業界で囁かれ始めた、こんな冗談を笑えない現実が広がっている。
大手を中心に現場入場前の健康診断書提出が厳格化され、高血圧や糖尿病の数値によって作業制限がかかる現場がじわり増えているという。
「ケガしたわけじゃないのに、高血圧だというだけで現場に入れない。健康管理が大事なのは分かるが、仕事がないとそれはそれで困る」(前出の作業員)
かつては「風邪くらいで休むな」と言われた業界で、今や健康診断の数値が仕事の可否を決める時代になりつつあるようだ。
厚生労働省と国土交通省は2025年度予算案で「建設業の人材確保・育成」に向けた総額250億円規模の支援策を打ち出した。中でも注目すべきは「働き方改革推進支援助成金」に92億円を計上し、現場の健康配慮型環境整備を強力に後押しする点だ。この政策転換の背景には、業界が直面する深刻な現実がある。大手建設会社の社員は語る。