萬福(神奈川・横浜)異彩を放つカレー焼麺。常連の要望を形にした強めのとろみ
食材費が上がり続け、飲食店にとっては厳しい時代だが、苦しい時を乗り越えて生き抜く老舗も少なくない。そんな名店には、時代の荒波に打ち勝つヒントがあるはずだ。創業50年を迎えた本紙と“同い年”くらいの50年飲食店の店主に愛される味の秘訣を聞いた。
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昼飲みスポットとして名高い横浜・野毛で人気のこの店は2年前の移転とともに店構えを一新したが、創業58年の老舗。厨房の真上の壁には麺類、飯物、料理類、湯(スープ)類などジャンルごとに手書きの品書きがズラーッと並び、オススメは1品ずつ大きめの短冊に。その数、80品ほど。創業以来、受け継がれる柳麺(ラーメン)は醤油ベースで580円。リニューアルされても、これぞ町中華! というべきたたずまいと安心価格だ。
「移転前は場外馬券場が近いので、馬券を片手にテレビ観戦する競馬ファンを中心に昭和世代がほとんどでしたが、コロナ禍で一変。若い方も増えたのでうれしいですね」
こう言うのは、3代目の渡部了輔さん。町中華は餃子が定番。もちろんあるが、古くからの人気は葱油豆腐(ねぎどうふ)750円。長ネギの細切りと自家製チャーシューを醤油ベースのタレで和え、絹豆腐の上にどっさりと。シャキシャキとした歯ごたえとともに豚のうまみと大豆の香りが混然一体となり、胃にやさしく収まった。


















