館山市立図書館(千葉県)「南総里見八犬伝」関連の書籍だけで200点以上
房総半島の南にある館山は「海と花のまち」として知られる。
海に面し、気候が温暖だから、漁業や花づくりが盛ん。もともと戦国大名の里見家によって築かれた館山城の城下町として栄えた場所でもある。
その里見家を題材に書かれた小説が「南総里見八犬伝」だ。著者は滝沢(曲亭)馬琴。江戸後期に28年の歳月をかけて書かれた大作だけに詳細は割愛するとして、ひと言で言えば「仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌」の8つの玉をもつ八犬士が里見家の危機を救う物語だ。
1943年8月に開館、72年2月に現在の場所に新築移転した館山市図書館には、この南総里見八犬伝に特化した棚がある。
「里見八犬伝関連の書籍だけで200点以上、八犬伝関連も含めた郷土資料は約8000点あります。里見家も含め、地域の歴史、寺、神社、館山にゆかりのある人物などのものです」と、主任司書の相川咲妃さんがこう続ける。
「花や庭づくり、家庭菜園の本なども人気があります。海関連ですと、館山湾で見られるウミホタルの生態に関する書籍なども揃えています。昨年8月には図書館の中でウミホタルの観察会を開催しました。本を読むだけでなく、実際に見ることでより理解を深め、この地域の自然に親しんでほしいという意図です」
1階閲覧室の「特設コーナー」には季節や旬の話題をテーマにした書を集め、月に1回ほど入れ替え。2階書架室の「時代小説文庫の城」は時代小説の文庫本が、城を模した本棚に並べられており、来館者が手に取りやすいよう工夫されている。
館山市図書館の登録者であれば、パソコンやスマホからアクセスして本が読める「電子図書館」のシステムがあるのもうれしい。
蔵書は約16万冊。うち開架図書は約8万8000冊だが、書庫の青木茂文庫(「三太物語」で有名な児童文学作家=青木茂の著書や自筆原稿などのコレクション)も状態次第で閲覧できるそうだから、職員に相談した方がいいだろう。