クマ対策の切り札に? 捕獲・駆除の専従職員「ガバメントハンター」環境省の狙いと効果

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 環境省の調べでは、クマによる人的被害の発生場所は夏前まで森林や河川敷など生息地が多かったが、7~9月になると市街地や住宅地、公園など人間の生活圏が7割に上った。山間部のエサが不足し、食べ物を求めて人里に下りてきた可能性が高い。

 各地で被害が相次ぐ中、クマが出没するたびに自治体職員、猟友会のハンター、警察官らが昼夜を問わずに対応に追われ、疲弊している。これまで駆除を民間の趣味の団体である各地の猟友会に頼りきり、専門知識を持たない自治体職員が指揮してきたが、それも限界に達しつつある。先が見えず、負担は増えるばかりでマンパワー不足も明らかだ。

 政府は今週中にクマ被害対策の施策パッケージを取りまとめる。環境省は各自治体に対し、捕獲や防除など専門性を備えた人材の確保や、自前で捕獲や駆除を担う専従職員「ガバメントハンター」の育成や雇用の支援を行う方針だ。

 すでに陸上自衛隊が「箱わな」の設置や運搬など後方支援を実施。13日から警察官によるライフル銃の使用が可能となるが、クマを撃った経験や知識はなく、特に市街地で住民の安全を確保しながらクマを仕留めるのは、ベテランハンターでも至難の業だ。数だけ増やしたところで、ただちに被害を食い止められるわけではない。

「クマの駆除に使用するライフル銃を所持するには、銃砲所持許可を得た後、原則として散弾銃を継続して10年以上所持し、経験を積む必要があります。有害鳥獣駆除に従事する場合、猟友会の推薦があれば最低5年、市町村の推薦で2年に短縮できますが、2年でライフル銃の所持許可を得た人は国内で200人もいません。ほとんど推薦が出ないのが現状です」(大日本猟友会担当者)

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