<3>寮生活を抜け出し中年サラリーマンとお茶して3万円

公開日: 更新日:

 左腕に抗がん剤の点滴が24時間ついている上、アレルギーで右手首にも点滴が入り、両手が使えない。病院のベッドであおむけのまま、思考が現実を超えていく。

 女は、金になる。それが分かったのは中学生の頃、全寮制の中高一貫の進学校時代だった。

 駅まで車で20分という山あいの田舎。祖父の開業した病院を受け継いだ母と、そんな母のヒモでしかない、ドゲスな父。ろくに仕事もせず、外に女をつくっては家出を繰り返した。毎度毎度、女に愛想を尽かされ金も尽き、泣きながら帰って来る。「子どものために」と言って離婚を先延ばしにする母。そんな両親に吐き気がして実家を出たら、がんじがらめの寮生活が待っていた。スカートの長さにベッドメーキング、TVはNHKだけ、間食にポタージュを飲むときもクルトン入りは駄目。クルトンはパンで主食だから。友だちもなく、図書館での現実逃避では耐えられず、寮を抜け出して繁華街をうろついた。

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