ファーウェイの今 ひたすら制裁解除を待つしかない茨の道

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米中対立に揺れる ファーウェイの今<上>

 先月31日、中国通信機器最大手・華為技術(ファーウェイ)の2020年の決算発表が世界同時にオンラインで行われた。売上高は8914億元(約15兆円)で、かろうじて前年比3.8%の増収となった。

 ご存じの通り、ファーウェイは半導体の調達が制限され、スマホにはグーグルアプリが搭載できないなどハンディを負っている。案の定、米国の一連の制裁でスマホの出荷は落ち込んだ。半導体の在庫は今年半ばに底をつくと予想されていたが、内部では「すでに半導体の在庫も使い果たした」とささやかれている。米国が世界の半導体を支配するという構図において、ファーウェイの生き死には「サプライチェーンの修復にかかっている」と胡厚崑(ケン・フー)副会長兼輪番会長は述べた。

米国依存から「自力本願」へ

 窮地に追い込まれたファーウェイに残されたシナリオは、米国依存からの脱却、すなわち「自力本願」だ。ファーウェイが独自開発するOS「ハーモニー」やサーバー用CPU「クンポン」は、まさに米中デカップリングの進行を象徴するものだ。目下、中国政府は半導体の国産化に力を注いでいるものの、「台湾のTSMCのレベルに中国のSMICが追いつくには10年、20年では難しいだろう」(王剣峰ファーウェイ・ジャパン代表取締役会長)という。したがって、今のファーウェイはひたすら米国の制裁解除を待つしかない状況だ。

 ファーウェイが取得する半導体がゼロに近づけば営業利益を圧迫するが、このような断崖絶壁に追い詰められながら、ファーウェイはなおも「研究開発への投資は続ける」(ケン・フー副会長)という。

 年間200億ドル(20年は215億ドル)を投じる「研究開発」こそがファーウェイの生命線であり、同社は人材確保にも大枚をはたき、ハーバード、オックスフォードクラスの優秀な新卒者や科学者を採用してきた。

■過去10年で最悪

 ファーウェイの従業員19万8000人のうち研究開発に従事している人材はその半数だといわれるが、中国では「20年8月に米国商務省が行った禁輸措置強化を受けて、幹部を含む多くの人材がファーウェイを去った」(中国の業界紙)ことが報道されている。筆者の取材に「この先、会社はどうなるのかと心配する社員は少なくない」と答える社員もいる。

 ここ数年で急成長した同社だったが、売上高の伸び率は過去10年で最低になった。世界の半導体供給を牛耳る米国の術中にはまってしまったファーウェイ、茨の道は続く。 =つづく


▽姫田小夏(ひめだ・こなつ)上海財経大学公共経済管理学院・行政管理学修士(MPA)。中国ウオッチは25年超。近著に日刊ゲンダイでの連載などをもとにした「ポストコロナと中国の世界観」(集広舎)。

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