みずほFG<下>4500億円投じた「MINORI」を使いこなせず…システムをIBM製に一本化できるのか
金融庁が、みずほ銀行と持ち株会社のみずほフィナンシャルグループに出した業務改善命令で、システム障害が発生した原因について、システムに関するリスク(の認識)と専門性(の不足)、IT現場と営業現場(で働いている人々が何を考えているのか)を知る必要性、「言うべきことを言わない」企業風土を挙げた。
過去のシステム障害を教訓にして作った基幹システム「MINORI(みのり)」が2019年に稼働した。システム部門のトップに就いた石井哲執行役は人事畑出身で、稼働後に経営合理化の一環として関連部門の人員をおよそ6割削減するなどした。このことがトラブルを招いた大きな要因としてえぐり出された。こうした一連の対応を金融庁は「システム軽視」と指弾した。
石井執行役は、みずほのドンとして長年、君臨してきた佐藤康博会長の“秘蔵っ子”。旧興銀勢が次期FG社長の最有力候補に押し立てていた。だが今回、引責辞任した。
「MINORIを使いこなせていなかった。それが障害時の対応にもつながった」
21年10月8日、みずほFGがシステム障害の原因の分析と再発防止策を公表した会見で、CIO(最高情報責任者)でもあった石井は敗北の弁をこう総括した。