山形県「きらやか銀行」公的資金申請の舞台裏 実態はコロナ特例を利用した借り換えか
じもとホールディングス(仙台市)傘下で山形県を主地盤とする「きらやか銀行」が13日、公的資金の申請検討開始を表明した。
同日、本店で記者会見した川越浩司頭取は申請の理由について、「コロナの影響を受けている取引先の事業再構築に伴う設備投資などを考えるなら、必要な資金だと考えている。地元の中小企業をしっかり支え、守ること、それが我々の使命だ」と強調した。公的資金を受けることで自己資本を充実し、コロナ禍で苦しむ地元企業への資金供給に万全を期すというわけだ。200億円規模の公的資金を申請するとみられている。
しかし、金融界の見方は少し異なるようだ。「きらやか銀行さんは、2年後に過去に注入された公的資金の返済期限を迎えます。今回の公的資金の申請は、その借り換えのようなものでしょう」(関東の地銀幹部)という見方だ。
きらやか銀行の今年3月末時点の自己資本比率は8.42%で、公的資金を返済しても6%台の自己資本比率を確保できるとみられている。国内銀行に求められる最低比率は4%以上であることから、十分に余裕があるのだが。「コロナ禍で地元企業の痛手が予想以上ということでしょう。とくに山形県はインバウンド需要に潤っただけに、その反動が大きく、宿泊、飲食関連企業などが落ち込んでいる」(大手信用情報機関)というのだ。