「ブルーボーイ事件」中川千英子著

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「ブルーボーイ事件」中川千英子著

 昭和40年、サチは同棲中の恋人・篤彦からプロポーズされる。しかし、すぐに応じることができない。坂口吉郎という本名を持つサチは、これまで性別適合手術を続けてきた。篤彦もそれは承知しており、最後の造膣手術を終えるまではプロポーズを受けないつもりだ。

 数日後、訪ねてきた弁護士の狩野から、主治医の赤城が優生保護法違反容疑で逮捕されたので、証人として法廷で証言してほしいと頼まれる。赤城の手術を受けた他の男性は男娼で、普通の女性として暮らしているサチの証言が必要だという。しかし、今の生活を壊したくないサチは依頼を断る。一方で最後の手術を受けるため医師を探すが引き受けてくれる病院はない。

 60年前の裁判を描き、知られざる性的マイノリティーの苦悩を伝える公開中の話題映画の小説版。 

(朝日新聞出版 946円)

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