やりたい放題のロシア軍 占領地域で住民“カツアゲ”「通行料」に2万円要求
ロシア軍の侵攻開始から24日で3カ月。東部制圧に向けて攻勢を強める中、ロシア軍の手中に落ちた地域では、兵士によるウクライナ市民への“カツアゲ”が横行している。
南部ザポロジエ州のウクライナ軍当局によると、同州メリトポリの検問所では、市外への退避を希望する住民に対し、ロシア兵が3000~5000フリ ブニャ(約1万3000~2万1500円)の金銭を要求。脱出しようにもカネのない住民は、失業や食料不足にあえぎながら「人質」でいることを余儀なくされているという。
さらに、ロシア軍は住民向けの人道支援物資を積んだ車両なども足止め。検問所を通ってメリトポリ市内に入るためには、2万~4万フリ ブニャ(約8万6000~17万2000円)もの通行料を払わなければならないという。ほとんど、街のゴロツキ状態である。
筑波大名誉教授の中村逸郎氏(ロシア政治)がこう言う。
「ロシア軍は、軍参謀総長が汚職事件で解任されたり、兵士が麻薬密売や武器の横流しで小銭を稼いだりと、腐敗体質が蔓延しています。戦場へ戦いに来ているというよりも、カネを稼ぎに来ているといった兵士もいるようです。金目のものを平気で略奪したり、カネ欲しさに戦車を引き渡してウクライナ軍に投降しているのもそのためです。そんな体質ですから、ウクライナ住民からカネを巻き上げていても何ら不思議ではありません。戦場で現地調達せざるを得ないほど、金欠の可能性もあります」
麻薬密売や武器横流しの腐敗体質
メリトポリは侵攻開始直後に陥落。ロシア側は現職市長を拉致し、親ロシア派の傀儡市長にすげ替えた後、拉致した市長をロシア兵の捕虜9人と交換して解放。今月から給与や年金をロシア通貨ルーブルで払い始めた。着々と「ロシア化」を進めているが、反ロシアのパルチザンから抵抗を受けている。
「ロシアでは警察も腐敗し、賄賂が横行しています。ロシア国内ですら法に基づいた秩序を構築できていないのに、占領地域をコントロールできるとは思えません」(中村逸郎氏)
住民にタカっていたら、懐柔するどころか嫌われるだけだ。