村山治
著者のコラム一覧
村山治ジャーナリスト

1950年、徳島県生まれ。1973年に早稲田大学政治経済学部を卒業し毎日新聞社入社。1989年の新聞協会賞を受賞した連載企画「政治家とカネ」取材班。1991年に朝日新聞社入社。東京社会部記者として金丸事件、ゼネコン汚職事件、大蔵省接待汚職事件などの大型経済事件報道に携わる。2017年からフリー。著書に『特捜検察vs.金融権力』(朝日新聞社)、『検察 破綻した捜査モデル』(新潮新書)、『安倍・菅政権vs.検察庁 暗闘のクロニクル』(文藝春秋)『工藤會事件』(新潮社)など。

【金丸脱税事件】異聞(8)情報の漏洩恐れ、上司の検事長を出し抜いた五十嵐特捜部

公開日: 更新日:

 国会では新年度の予算審議が大詰めを迎えていた。法務・検察は捜査手続きが国会審議に影響を及ぼさないよう細心の注意を払う。検察が金丸らを脱税容疑で立件することは、3月4日の検察首脳会議で決まった。5日に予算案が衆院を通過する予定だったが、4日夜になって予算審議が6日にずれ込むことが確実になった。

 大蔵省幹部は国税庁幹部を通じ、強制捜査の着手時期については「予算が通ってからにしてほしい」と切望。それを受けて検察は、強制捜査の着手は6日に予算案が衆院を通過してから、と決めた。

 緘口令を敷いているとはいえ、時間がたてばたつほど、情報漏洩の恐れが拡大する。検察幹部らの胃は傷んだ。

 特捜部長の五十嵐が特に、警戒したのが連載3回目でも触れた東京高検検事長である。特捜部が作成した報告書の内容がそのまま検事長に食い込んでいるとされるマスコミに漏れたことがあった。前年の金丸の闇献金事件処理に際し、検事長が密かに旧竹下派の有力幹部と接触していたとの話も永田町に流れていた。それらの情報を地検と最高検の幹部は共有していた。

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