村山治
著者のコラム一覧
村山治ジャーナリスト

1950年、徳島県生まれ。1973年に早稲田大学政治経済学部を卒業し毎日新聞社入社。1989年の新聞協会賞を受賞した連載企画「政治家とカネ」取材班。1991年に朝日新聞社入社。東京社会部記者として金丸事件、ゼネコン汚職事件、大蔵省接待汚職事件などの大型経済事件報道に携わる。2017年からフリー。著書に『特捜検察vs.金融権力』(朝日新聞社)、『検察 破綻した捜査モデル』(新潮新書)、『安倍・菅政権vs.検察庁 暗闘のクロニクル』(文藝春秋)『工藤會事件』(新潮社)など。

【金丸脱税事件】異聞(1)「政界のドン」逮捕は「青天の霹靂」だった

公開日: 更新日:

 戦後日本の繁栄を支えた護送船団システム。その崩壊の引き金にもなった一連の金丸事件から6日で30年。いまだ、多くの謎に包まれている一連の事件の舞台裏を、取材メモや非開示の捜査資料、関係者の証言で検証する。(敬称略)

 そのニュースを知って血の気が引いた。記者生活で初めての経験だった。

 1993年3月6日夜、東京地検特捜部が「政界のドン」といわれた金丸信・元自民党副総裁と金庫番の秘書、生原正久を脱税容疑で電撃逮捕したのだ。日本中に衝撃が走った。

 金丸は前年夏、東京佐川急便からの5億円闇献金が発覚し、自民党最大派閥の経世会(竹下派)会長を辞任。さらに政治資金規正法違反で略式起訴され衆院議員も辞職したが、政権与党の大御所として政界に隠然たる力を持っていた。

 「青天の霹靂」とは、こういうことを言うのだろう。社会部の腕利き記者が起用される検察担当や遊軍記者の多くは「金丸逮捕」の匂いもかいでいなかった。

 当時、検察に最も食い込んでいたとされる朝日新聞では、東京司法記者クラブ加盟の記者全員とその家族が同日夕、元麻布のフレンチレストランで食事会を開いていた。キャップに異動の内示があったのを機に前年から続いてきた記者たちの奮闘をねぎらう会だった。ワイン片手の談笑が続いた。

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