電通グループの大株主に英国の「物言う株主」が…狙い見えぬ“穏健派”の不気味さ
突然とも言える“異物”の出現に社内では戸惑いと警戒が広がっているらしい。英国を本拠とする投資ファンド、シルチェスター・インターナショナル・インベスターズが、広告最大手の電通グループ株を市場の内外で買い集め、発行株の5.05%を握る実質3位の大株主に躍り出た。
事実上の筆頭株主となっている共同通信社(持ち株比率6.58%)、2位株主の時事通信社(同5.58%)に次ぐ位置取り。無論、保有目的は「純投資」ではない。
シルチェスターが今月中旬、関東財務局に提出した大量保有報告書には「増配、自己株式の買い入れの頻度や総量、金庫株消却その他資本政策の変更を要求することがある」と記載。会社側が提案する合併計画や取締役選解任案などに反対する可能性や株式追加取得の可能性も示唆している。
シルチェスターは、米金融大手モルガン・スタンレー出身者が、1994年にロンドンで設立したファンドだ。アクティビスト、いわゆる「物言う株主」として知られているが、運用は長期保有を前提としたバリュー株(割安株)投資が基本スタンス。経営陣との対話に重点を置き、従来は「穏健派」とも呼ばれてきた。