姫田小夏
著者のコラム一覧
姫田小夏ジャーナリスト

中国・アジアを身近に捉える取材に取り組む。中国ウオッチは25年超、中国滞在経験も長い。アジア・ビズ・フォーラム主宰。日刊ゲンダイでの連載などをもとに「ポストコロナと中国の世界観 」(集広舎)。

予備校→日本語学校→専門学校と急拡大…中国人相手の教育事業「一網打尽」モデルは熾烈な競争の象徴

公開日: 更新日:

■多角的にうまみ

 その後、豊原被告は日本語学校の経営に乗り出していった。

 アニメ関連の専門学校を経営する都内の学校法人の理事長職にも豊原明の名前があり、予備校→日本語学校→専門学校と経営範囲を急拡大させてきた様子がわかる。

 予備校経営はあくまで首都圏の在留中国人が対象だが、日本語学校を経営すれば留学ビザの発給対象になるため、中国から“客”を引っ張ってくることができる。専門学校にもうまみがある。前出の教育関係者は「日本語学校はあくまでも日本留学のプロセス。日本の大学や専門学校というゴールを押さえるビジネスモデルはうまみが大きい」と話す。

 出版事業にも手を広げた。14年には中国で参考書を、19年には「日本留学試験」の試験対策本を日本と中国で出版した。後者のテキストは新宿・紀伊国屋書店でも販売されている。日本の就職サイトによれば前述の専門学校も「中国人留学生が大半を占める」という。また、中国人の若者の中で美大志望者が急増しているため、近年は美大受験のための専門コースも創設した。日本に在留する中国人子女に向けた中学受験の専門塾さえあるという。

 こうした多角化は名校だけにとどまらない。関連するあらゆる領域を一網打尽にするビジネスモデルは、頭から尻尾までの龍にたとえて「一条龍(一匹の龍)」と呼ばれ、市場ナンバーワンを目指す中国系同士の熾烈な競争の象徴ともなっている。  =つづく

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 2
    岡田有希子さん衝撃の死から38年…所属事務所社長が語っていた「日記風ノートに刻まれた真相」

    岡田有希子さん衝撃の死から38年…所属事務所社長が語っていた「日記風ノートに刻まれた真相」

  3. 3
    明石家さんま“賞味期限切れ”危機…TV界に「つまらない」の声広がり“老害芸人”リスト入り

    明石家さんま“賞味期限切れ”危機…TV界に「つまらない」の声広がり“老害芸人”リスト入り

  4. 4
    NHK「日曜討論」で陰謀論炸裂のア然…政治改革は「自民の力を削ぐ政局」のトンデモ発言

    NHK「日曜討論」で陰謀論炸裂のア然…政治改革は「自民の力を削ぐ政局」のトンデモ発言

  5. 5
    井上真央ようやくかなった松本潤への“結婚お断り”宣言 これまで否定できなかった苦しい胸中

    井上真央ようやくかなった松本潤への“結婚お断り”宣言 これまで否定できなかった苦しい胸中

  1. 6
    17億円の損害賠償「払う気ない」と発言…「漫画村」運営者の言い分は通るのか

    17億円の損害賠償「払う気ない」と発言…「漫画村」運営者の言い分は通るのか

  2. 7
    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

  3. 8
    だれもが首をひねった 演技派俳優・古尾谷雅人の自殺の謎

    だれもが首をひねった 演技派俳優・古尾谷雅人の自殺の謎

  4. 9
    万博遠足の休憩所はガス爆発現場!大阪府が計画「児童・生徒 無料招待」でも真っ平ごめん

    万博遠足の休憩所はガス爆発現場!大阪府が計画「児童・生徒 無料招待」でも真っ平ごめん

  5. 10
    維新・馬場代表が自民に“助け船”で大炎上! 裏金事件の実態解明「無理じゃないか」発言の姑息な狙い

    維新・馬場代表が自民に“助け船”で大炎上! 裏金事件の実態解明「無理じゃないか」発言の姑息な狙い