著者のコラム一覧
姫田小夏ジャーナリスト

中国・アジアを身近に捉える取材に取り組む。中国ウオッチは25年超、中国滞在経験も長い。アジア・ビズ・フォーラム主宰。日刊ゲンダイでの連載などをもとに「ポストコロナと中国の世界観 」(集広舎)。

「そごうクアラルンプール店」の健闘は“瓢箪から駒” 日本側が主導権を握らないのがカギ?

公開日: 更新日:

富裕層狙いが的外れの場合も

 確かに日本では今、インバウンドが盛り返し、日本ブランドが人気で、一部の百貨店も好調だ。しかし、海外では日本からそのまま輸出した日本ブランドがウケるとは限らない。ましてや「富裕層狙い」も、立地によっては的外れなマーケティングになりかねない。海外の日系商業施設で扱われる日本ブランドの商品は、関税や物流コスト、駐在員経費などで高額になるが、見た目も機能も大差なければ、わざわざ高い日本ブランドを買う理由もない。日系の商業施設には地元ニーズにマッチしない高額商品がズラリと並んでいる。

「そごうクアラルンプール店」は“餅は餅屋”の好事例。日本側が手を引いた方が繁盛するという示唆でもある。カギは「顧客が望むものを顧客が納得できる価格で提供すること」であり、そのためには「現地化を進めること」に尽きる。

 日本の侍文化ファンの20代のマレー人男性は「日本の文化は確かに好きだけど、日本のものばかりを集めたショッピングモールには魅力を感じない」と率直に言う。日本人が思っているほど、現地では日本ブランドに強いニーズがあるわけではないようだ。

 80~90年代のマレーシアでは大衆路線のヤオハンが大人気、日本への期待も高かった。だが今は違う。“チームニッポン”による現地制覇が失敗すれば、日本と日本人へのイメージダウンにもつながりかねない。東南アジアの若者の日本への憧れが薄れれば、日本は海外人材の獲得競争にも負けるし、インバウンドにさえ影響する。

 “負の効果”が出なければいいのだが。(おわり)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・梅野がFA流出危機!チーム内外で波紋呼ぶ起用法…優勝M点灯も“蟻の一穴”になりかねないモチベーション低下

  2. 2

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  3. 3

    国民民主党「選挙違反疑惑」女性議員“首切り”カウントダウン…玉木代表ようやく「厳正処分」言及

  4. 4

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  5. 5

    本命は今田美桜、小芝風花、芳根京子でも「ウラ本命」「大穴」は…“清純派女優”戦線の意外な未来予想図

  1. 6

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  2. 7

    時効だから言うが…巨人は俺への「必ず1、2位で指名する」の“確約”を反故にした

  3. 8

    石破首相続投の“切り札”か…自民森山幹事長の後任に「小泉進次郎」説が急浮上

  4. 9

    今田美桜「あんぱん」44歳遅咲き俳優の“執事系秘書”にキュン続出! “にゃーにゃーイケオジ”退場にはロスの声も…

  5. 10

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃