ヘリ飛行問題 地位協定見直しに火が付けば安倍一強終焉も
安倍政権に「白黒」をつける覚悟が、どこまであるのか。昨年末に米軍ヘリの窓が落下した普天間第二小学校の上空を、再び米軍普天間基地所属のヘリ3機が編隊飛行したかどうかを巡り、防衛省と米軍の主張が対立している。
防衛省は上空飛行を沖縄防衛局の監視員の目視とカメラで確認したと主張。カメラ映像を報道陣に公開した。映像を見る限り、明らかにヘリが小学校上空を飛んでいる。一方、米側はレーダーによるヘリの航跡データの分析とパイロットへの聞き取り調査から、「飛行した事実はない」と防衛省の言い分を真っ向から否定しているのだ。
小野寺防衛相は映像を米側に提供し事実関係を確認するよう求めたと説明したが、“動かぬ証拠”を握った以上、もっと強気に出るべきだ。沖縄県の翁長知事の要請通り、米側が強く否定するなら、その根拠にしている航跡データの公表を迫るのがスジ。米側に航跡データを公表させて映像と照らし合わせない限り、「飛んだ」「飛んでいない」の水掛け論に終わるのがオチである。
■主張の食い違いは選挙向けのポーズ
安倍政権が珍しく米側に盾突いているようなそぶりはしょせん、告示が迫る名護市長選や県知事選など沖縄の「選挙イヤー」を意識したパフォーマンス。そもそも窓落下事故後の日米合意は、小学校上空の飛行を「最大限可能な限り避ける」という“努力目標”にとどまっている。