高橋乗宣
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高橋乗宣エコノミスト

1940年広島生まれ。崇徳学園高から東京教育大(現・筑波大)に進学。1970年、同大大学院博士課程を修了。大学講師を経て、73年に三菱総合研究所に入社。主席研究員、参与、研究理事など景気予測チームの主査を長く務める。バブル崩壊後の長期デフレを的確に言い当てるなど、景気予測の実績は多数。三菱総研顧問となった2000年より明海大学大学院教授。01年から崇徳学園理事長。05年から10年まで相愛大学学長を務めた。

バブル再来の夢想が大前提…安倍政権“骨スカスカ方針”の愚

公開日: 更新日:

 安倍政権が経済財政運営の指針となる「骨太の方針」の原案をまとめた。来年10月の消費税率10%の引き上げを明記したが、増税分の使途はデタラメの極みだ。

 増税前の駆け込み需要の反動減を抑えるため、2019~20年度に景気対策を実施。具体的には、住宅や自動車購入時の減税拡大に加え、幼児教育・保育の完全無償化を来年10月に半年前倒し、低所得世帯の国立大学の入学金免除と、完全なバラマキ策である。

 これらの財源は消費増税の増収分だ。安倍政権は消費税率の引き上げ分を人気取りに充てる一方で、財政再建を軽んじる。基礎的財政収支(PB)黒字化の目標時期を従来の20年度から25年度まで5年も先送りした上、達成は現実離れした「高度成長」頼み。内閣府の想定通り、20年代前半のGDPが、バブル期並みの「実質2%、名目3%以上」で推移しなければ実現できない。

 安倍首相が「強い経済を取り戻す」と豪語し、3本の矢を放ってから5年。名目金利もゼロからマイナスに移行したものの、GDPは停滞し、今年1~3月期はマイナス成長に陥った。かような現状でバブルの再来を期待するとは、正気の沙汰ではない。果たして消費増税の増収分をバラまけば「強い経済」を取り戻せるのか。

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