立岩陽一郎
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立岩陽一郎

ジャーナリスト、1967年生まれ。91年、一橋大学卒業後、NHK入局。テヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクなどを経て2016年12月に退職し、17年からフリーランスとして活動。現在は調査報道を専門とする認定NPO運営「ニュースのタネ」編集長。アメリカン大学(米ワシントンDC)フェロー。毎日放送「ちちんぷいぷい」レギュラー。ニコニコ動画でも「ファクトチェック・ニッポン」の配信を開始。

性的虐待の父親無罪で考える 筆者中学生時代の屈辱と悪夢

公開日: 更新日:

 今も忘れることのできない少年のころの記憶。その嫌悪感と屈辱感に吐き気をもよおすことが今もある。それは中学生の時。私は姉と週末の日中に井の頭線に乗っていた。さほど混んでもいない車内で私はドア付近で窓の外を見ていた。すると、いきなりズボンの中に何かが入ってきた。そして、それは不自然に動いて私の肛門付近をまさぐっている。それが人の手であることは把握できたものの、驚きと怖さ、そして羞恥心とで、体も頭も動かない。その状態がどれだけ続いたのかさえ、わからない。背中越しにいる相手を見ることさえできない。

「やめなさい」

 高校生の姉のその一言で、手は私のズボンから出て行った。私はやっとの思いでその男の顔を見たが、しっかりと見ることはできなかった。男は去っていった。

 3月26日に名古屋地裁岡崎支部の出した判決を知って、その時の井の頭線での悪夢がいつもより鮮明に思い出された。判決は、長年にわたって性的虐待を加えていて準強制性交の罪に問われた父親を無罪とした。その判決文を確認した伊藤和子弁護士によると、被害者の女性は中学2年の時から継続して父親から性的虐待を受けていたということで、裁判になったのは2017年8月と9月に父親から意に沿わない性交をされたものだったという。父親が問われたのは準強制性交罪。判決では、意に反する性行為だったことや、暴行などによって父親が支配的な立場にあったこと、つまり心理的に抵抗できない状況がつくり出されていたことを認めたという。それでも、判決は、父親を無罪とした。

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