五輪開催20年度の改革は下村元文科相「公言」で既定路線化
英語民間試験導入は、首相直属の「教育再生実行会議」が提言するなど政治の側の決定だったから、教育行政を担当する文科省としてもそれを最重要課題とせざるを得ない。森友・加計問題で忖度が横行したように、首相官邸の内閣人事局に人事権を握られて以来、官僚は与党政治家の忠実な下僕でなければならないからだ。
現政権は、何よりスピードを重視する。特定秘密保護法も集団的自衛権の閣議決定も、安保法制も外国人労働者受け入れ拡大も、拙速と思えるほどの急ぎ方だった。まして、英語民間試験の導入決定時の文科相は、2012年から15年まで3年近くその座に君臨し、権勢を振るった下村博文氏である。急激な改革を求め、細密な工程表を作って官僚たちを意のままに使おうとしていた。
その下村元文科相が、最高諮問機関である中央教育審議会(中教審)の答申が出る前の14年秋ごろから東京五輪が開催される20年度には入試改革を実施すると公言していたのだ。20年度実施は既定路線とされ、5年間のうちに準備を完了することが文科省の官僚たちの必須課題となったのは言うまでもない。