姫田小夏
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姫田小夏ジャーナリスト

上海財経大学公共経済管理学院・行政管理学修士(MPA)。中国ウオッチは25年超、うち約15年を上海で過ごす。アジア・ビズ・フォーラム主宰。日刊ゲンダイでの連載などをもとに「ポストコロナと中国の世界観」(集広舎)。

飛び交うデマに言論統制 消された情報こそ真実という皮肉

公開日: 更新日:

 新型肺炎をめぐって中国のインターネット上でさまざまな情報が流れているが、目下、当局はデマ潰しに躍起になっている。もとより言論統制を強める習近平政権だが、今回はこの統制が裏目に出た。時間の経過とともに、「消された情報こそが真実だった」というケースが続出し、かえって社会を混乱させる事態を招いている。

 振り返れば1月1日、武漢市で8人の男性がデマを流布した疑いで拘束された。8人は昨年12月30日、「SARSが出現した」とグループチャットでつぶやいた。すると誰かがこれを外部の友人に転送し、瞬く間に拡散。中国で疫病の発生などの情報を流せば、「治安管理処罰法」違反とされ、最悪の場合、7年の懲役となる。世間も「次につかまるのは俺か」とSNSの発信が静まった。

■12月30日「SARS出現」発信の医師は「勇士」

 ところが、つぶやきの直後に、この8人は武漢市の3つの医療機関にそれぞれ勤務する医師だということが発覚した。同日の30日、武漢市当局が初めての情報公開を行うが「原因不明のウイルスによる肺炎患者が増えている」とするにとどまった。のちにウイルスは「SARSに似ている」こともわかってきた。1月20日、習国家主席が情報公開を支持すると表明したことから、新型肺炎をめぐる言論統制の空気が一変、ネット民も8人を「勇士」と呼び積極的に支持するようになる。2月7日、ついにこのうちひとりの医師が新型肺炎で死亡。今、中国のSNSは「真実こそ命を救う」と大騒ぎだ。

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