れいわ新選組・山本太郎代表の本音に迫る<2>

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私が都知事になったら東京の人口が増えてしまって困る

 フリーランスライターの畠山理仁氏が、れいわ新選組山本太郎代表の本音に迫るインタビュー。2回目は告示が来月に迫る東京都知事選と、来るべき総選挙に向けた動きを赤裸々に語ってもらった。

 ◇  ◇  ◇

 ――ちなみに、6月18日から7月5日の予定って決まっていますか。

 6月18日……。誰かの結婚式ですか?

 ――都知事選のスケジュールなんですけど。

 アハハ、すみません。6月は結婚式が多いのかなって。

 ――ジューンブライドとかは関係なくって。

 違うんですか? 今のところ、フリーです。コロナの感染拡大がなければ全国を回っていたでしょうけど。全く予定が見えない感じです。

 ――都知事選にお出になったりはしませんか。

 お出になったりって、えらいストレートですね。

 ――遠回しに日程から尋ねたんですけど。

 以前に「選択肢として排除しない」と語った状況からは何も変わっていません。小池知事もオリンピックを延期するって決まってから、本気を出しているじゃないですか。あくまでオリンピック延期決定からですけどね。テレビCMで、ご自分の宣伝もされていましたし。このまま行けば、安泰じゃないですか。

 ――血税9億円CMとの指摘もありました。

 そうは言っても、小池さんが大ナタを振るっているように見せている中でも、やはり漏れ落ちている方々も多い。例えばネットカフェ難民。2年前の調査で都はネットカフェ利用者の実に25%以上、4人に1人が住居消失者とし、その数は1日あたり約4000人と試算しています。小池さん自身、ネットカフェのクラスター化を懸念し、12億円をかけて寝泊りされている方々をアパートやホテルに移すようなことを言いましたけど、まず運用上は劣悪な環境の「無料低額宿泊所」に入ることとしていました。

 ――非常に狭い居室が密集した空間ですよね。

 たくさんの人が詰め込まれる施設のため、ネットカフェから別のクラスターになり得る場所に移すようなものです。つまり対策費の額面は大きく見せかけても、実態が伴っていない。小池さんには現場の運用面に関しても、ビチっと指示していただきたいなとは思いますね。

 ――私にやらせろとは思わないのですか。

 僕が都知事になったら、東京の人口、増えちゃいますよ。

 ――地方から人が集まってしまう?

 ちょっと、僕が東京を日本で1番暮らしやすい街にしちゃったら困るなあ。ずっと一極集中は避けるべきだと言ってきましたから。人口を地方に分散すべきとの立場なので。これまでの主張とズレてしまう。なかなか都知事選に出るとは言えませんね。矛盾が生まれてしまいますから。

 ――でも、選択肢としては排除しないと。

 それはもう、去年の秋から変わっていません。

 ――出馬の条件も去年と変わっていないのであれば「山本太郎を使ってやろう」と野党共闘がまとまればいいのですか。

 私を候補者にしたいとは思っていないですよ、野党の皆さんは。大嫌いですもん、たぶん私のこと。皆さん、いい人なんですけど。大好きなんですけどね、コッチは。フフフ。どうなんですかねえ。諸説あるじゃないですか。情報としては古いですけど、蓮舫さんが出られるとか、あと山尾志桜里さんの話も聞くし。ご自前の候補擁立を考えているんじゃないですかね、野党の諸先輩方は。

 ――れいわの党勢拡大の大きな原動力は街頭集会でした。コロナ危機で全く開催できない状況に置かれていますけど、総選挙に向け、これから、どう動いて行くのですか。

 草の根運動をやっていこうと、国政政党になってからも全国を回っていたんですけど、今の状況では外に出るのが難しい。ずっと集会がかなわないのは、非常に痛手です。国会内での活動も舩後靖彦・木村英子両参院議員がいるとはいえ、予算委員会などには席を持っていません。それは、ほとんどテレビの電波に乗れないことを意味します。そうなると「れいわは今、何をやっているのだろう」と気にかけて、ネット検索してくれるような方じゃないと、情報を拾ってもらえない。政党として事実上、「生きているんですか?」みたいな状態になっているのかも知れません。一応、ネットで情報発信はしているんですけど。どうしても受け身になりがち。動画投稿の視聴回数は伸びたとしても、30万回程度。テレビの視聴率だと、1%を切るレベルですよね。その中でも世論調査で1%そこそこの政党支持率を保てているのは、大健闘だと思います。存在しているかどうかも分からない扱いなわけですから。

 ――露出が減っているからこそ、都知事選に出るという選択はないのですか。

 不謹慎ですね(笑い)。そういう趣旨で出馬したら、タコ殴りに遭いますよ。

 ――そういう趣旨で出馬する人たちもいますよ、N国さんとか。

 なるほど。確かに政治家であれば、東京都くらいの大きな自治体のトップは魅力的な立ち位置だとは思いますけどね。世界の一国と同じ規模の予算を執行できるわけですから。けど、今は「ここだけの話ですよ」って事には、ならないですね。

外出自粛中の楽しみは1時間のバスタイム

 ――総選挙に向けた候補擁立は1次公認の13人しか発表できていません。コロナの影響で2次公認の発表も白紙になってしまったのですか。

 そうですね。けど、2次公認の内定者とは水面下で会っています。

 ――今、公募の応募者数はどれくらい?

 800人くらいじゃないですかね。2次公認の内定者だけでも5、6人はいます。ただ、全体的に自粛ムードなので、恐らく公募も自粛されてるのでは。

 ――もうひとつのハードルは選挙の資金です。総選挙で独自に100人規模の候補を擁立すれば最低20億円はかかると言われています。集まりそうですか。誰かポンと出してくれる方は見つかりましたか。

 いないですねえ、ホントに。ハードルが上がりますよね。100人立てる気持ちはある。候補者を100人そろえるのも無理じゃないと思っています。ただ、お金のことを考えると、最低20億円って、結構なハードルの高さです。しかも消費増税に加え、コロナが追い打ちですから。この危機的状況の中で多くの方々から寄付金を募って選挙を戦うのは、去年の参院選以上にハードルは上がるでしょうね。

 ――どう集めますか。

 偽札を作るわけにはいかないんでね(笑い)。コツコツやるしかない。ただ、総選挙が近くなれば、また違う雰囲気にはなるとは思います。それは政党支持率も同じ考えで捉えています。露出が少ない中で政党支持率1%は大健闘と言いましたけど、選挙の風が吹き始め、自然と露出が増えていけば間違いなく、支持率も上昇すると思うので。寄付も同じで、選挙ムードが高まれば、お金は集まると思います。その額はいくらになるかは分かりませんけど。参院選同様、どれだけ金額が集まるかということから始めなければ、総選挙も候補者を何人立てるかという話にはならない。何とも予測し切れない部分ですね。

 ――総選挙の時期はいつぐらいだと、今は想定していますか。

 安倍さん、目が死んでいますものね。自民党内は総裁任期をもう1回、延ばす雰囲気ではないでしょう。もちろん、推察でしかないですけど。このまま、安倍さんで引っ張るのは自民党議員にとって、迷惑だと思う。あまりイメージ、良くないですものね。自民党が権力を握り続けるための生き残りを考えた場合、やはり気分を一新した方がいいと思うんです。ひょっとしたら、自民党総裁の交代があるかもしれないですね。もしくは、衆院の任期いっぱいまで引っ張るか、消費減税で選挙か。分かりませんね。

 ――ところで、外出自粛中のお家での過ごし方は?

 大体、家に帰ったら、まずシャワーを浴び、湯船に30分浸かったり。1時間くらいは、お風呂場にいますね。コロナ禍の間に楽しみ方が変わりましたよ。こんなにリフレッシュできるもんかと、ビックリしました。後はコンビニで購入したスイーツを食べたり、フルーツティーを飲んだり。女子みたいな過ごし方をしています。こんなオッサンもいるんです。ハハハ。

 ※次回は、なかなか一つの塊としてまとまらない野党共闘への思いを打ち明ける。

*インタビューは【動画】でもご覧いただけます。

(聞き手=畠山理仁 構成=今泉恵孝/日刊ゲンダイ)

【写真】小池知事は終始ダンマリ…都知事選ネット討論会(19枚)
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