全米抗議デモで高まる警察改革 IBMが顔認証技術を廃止へ

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 多国籍IT企業・IBMのアルビンド・クリシュナCEO(最高経営責任者)が連邦議会議員らに手紙を送ったことを公式ホームページ内の6月8日付けブログで明らかにした。タイトルは「人種的正義改革に関する IBM CEOの連邦議会への手紙」。手紙を送った5人の議員は民主党所属であり、民主党は8日に警察改革法案を連邦下院に提出している。

 IBMは今回、法執行機関(警察当局)が使用する「汎用の顔認識および分析ソフトウエア製品を廃止した」とし、さらにIBMとして超党派の警察改革に協力する準備があるとしている。

 背景には全米抗議デモであるBLM(BLACK LIVES MATTER 黒人の生きる権利は大事だ)の高まりがある。抗議デモは黒人男性ジョージ・フロイドが白人警官によって暴行死させられたとされる事件がきっかけ。手紙では「人種差別との戦いはいつでも緊急だ」とも書かれており、警察の違法行為が人種差別に基づくものだという認識が伝わる。

「IBMは集団監視、人種プロファイリング、基本的人権および自由への侵害、または私達の価値観と信頼の原則と一致しない目的のために、他のベンダーが提供する顔認識テクノロジーを含むテクノロジーの使用に強く反対し、容認しません」とし、顔認証技術を採用すべきかいなか、どのように採用すべきかについて全国的な対話を始めるべきだとも書かれている。警察への政策として(警察官が装着する)「ボディカメラや最新のデータ分析技術など、警察に透明性と説明責任をもたらすテクノロジーの使用を奨励し、進める必要がある」としている。

 IBMでは1953年の公民権法が可決する10年以上前から、ジム・クロウ法を同社施設内で施行することを拒否してきた歴史があるとクリシュナCEOは強調もする。ジム・クロウ法とは、人種で物理的隔離をする黒人差別のための州法の俗称だ。

 日本でも新型コロナ感染の大規模追跡やスーパーシティ構想などで監視テクノロジーの導入に前のめりだが、SNSを含めた個人の顔写真情報の収集と利用は無制限に許されるものではない。米国では全米抗議デモで顔認証AIアプリが参加者に使われることで言論の自由の権利行使の抑制につながることが議論の対象になっている。 公正かつ透明性をもってテクノロジーを活用するためにも国民的な議論が必要だろう。

  日本の企業もアベノミクスや官庁のバラマキ事業のおこぼれに預かるだけでなく、ここぞというときには毅然たる態度を示してもらいたいものだ。

(取材・文=平井康嗣/日刊ゲンダイ)

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