溝口敦
著者のコラム一覧
溝口敦ノンフィクション作家、ジャーナリスト

1942年7月5日生まれ。早大政経卒 徳間書店、博報堂勤務を経て、フリージャーリストに。暴力団や闇の世界に深く食い込んだド迫力ルポには定評がある。『食肉の帝王』で第25回講談社ノンフィクション賞受賞、日本ジャーナリスト会議賞受賞。『暴力団』(2011年)がベストセラーに。

「親分子分」という擬制血縁関係=ビジネスモデルの崩壊

公開日: 更新日:

 日本の暴力団を特徴づけるものに擬制血縁関係がある。実際の親がいるにもかかわらず、組員となる者は、これと見込んだ男を親分として選び取る。子分は親の言うことは黒いものを白いと言われても、親に従わなければならないとされる。

 親になった者の第一の責務は、実の親も手に余すゴチャ者を世間に通用する人間に仕立て上げ、その者が自分の才覚で飯を食えるよう育てることだろう。

 暴力団組織は企業とは違い、親分が子分に給料を払うのではなく、子分が自分の力量や才覚で食えるようになれば、逆に親分や組事務所に月会費や上納金を納める。つまり親分は子分の数が多ければ多いほど懐が潤う仕組みである。それもあって組は広域化する。

 しかし、こうした擬制血縁関係は、現代では限りなくブラック企業に近い。社員に給料を払わなければブラック企業といわれても仕方ない。だが、暴力団は給料を払わないどころか、社員からカネを取る。

 その根拠は「おまえが飯を食えるのは、うちの代紋(いわば組のバッジ)のおかげだ。つまり代紋が稼いだようなものだから、カネを親分に運べ」となろう。

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