著者のコラム一覧
保阪正康作家

1939年、北海道生まれ。同志社大卒。編集者を経て「死なう団事件」でデビュー。「昭和天皇」など著書多数。2004年、一連の昭和史研究で菊池寛賞。本連載「日本史 縦横無尽」が『「裏切りの近現代史」で読み解く 歴史が暗転するとき』(講談社)として好評発売中。

原稿用紙を何枚も破り捨て…迫水久常は極秘の終戦詔書を涙で濡らして書いた

公開日: 更新日:
小磯内閣の辞任を受け、この日鈴木貫太郎内閣が成立。書記官長に就任した迫水は終戦工作の一翼を担うことになった=1945年4月7日、東京・永田町(C)共同通信社

 太平洋戦争の末期、日本は平衡感覚を全く失っていた。つまり軍事の指導者層は正常な判断ができない状況に追い込まれていたと言ってもいいかもしれない。政治指導者たちの一部が辛うじて軍事の暴走を止めようとしていた。近代日本はその最終段階で、近代日本の出発点の矛盾を見事なまでに露呈したとい…

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