U30世代に政治参加を促す能條桃子さん「20代の国会議員が1人もいない。だから少子化対策もずれてしまう」

公開日: 更新日:

被選挙年齢の引き下げを

 ──どうしたら日本でも若者にもっと政治参加してもらえるのでしょう?

 NO YOUTH NO JAPANの活動を5年やっている中で、最初はやっぱり若い世代が変わらないと政治も変わらないって思ったんですよ。でも、こんな政治を見て若い世代に関心を持てと言う方が無理だと、同時に思ったりして、行ったり来たりしているんですけど。「若者に責任がある」という語り方をしてても変わらないと思うので、今、私たちが最も力を入れているのは、25歳や30歳にならないと選挙に出られないという被選挙年齢を引き下げることです。

 ──選挙権は18歳からになりました。被選挙年齢もそこまで下げたい?

 20代の国会議員が、今一人もいないんですよ。なのに少子化対策とか言ってて。だからずれたことになってしまう。多様な若い人たちがいると想定するには、若い人や女性が、何人も入っていないと議論にならない。当事者不在の政治を解消する必要が、国政でも地方議会でもあると思います。

 ──少子化対策では、東京都のマッチングアプリもずれてませんか。

 マッチングアプリで結婚する人はすでにその存在を知っているから、東京都がつくっても意味がないですよ。本来、本気で少子化対策をやろうと思ったら、見なきゃいけないのは10代後半から20代、30代くらいの人たちのはずなのに、その人たちはあくまで客体であって、主体ではない。主体は、少子化対策をビジネスにしている事業者なわけじゃないですか。結局、市場経済の中での事業者主体の少子化対策になっているんです。

■出会いではなく経済の問題

 ──どうしたらいい?

 もっと若い人たちが生きやすい社会にしてほしい。貯金しないと不安で、年を取るのも不安。子供を持つのも不安。だから自分で準備する。でも、これだけ中学受験が過熱してしまうと、少しでも自分が親にしてもらった状況より良くしたいと望んでも、できないなと思う。子供の数が減っていくのも、そうだよなと思うんです。だったら、公立学校をもっとよくするとか、いま奨学金を抱えて返済している人たちの負担を軽くするとかしてほしい。東京の家賃が高すぎて、もう一人暮らしできないんです。でも、するしかない。そうしたら、可処分所得が減って暮らせないから残業する。その結果、外に遊びに行く時間も精神的な余裕もないから、出会う時間もない。必要なのは、出会わせるところじゃなくて、経済の問題が大きいと思います。若い人たちだけで話したら、こんな話ばっかりですよ。

(聞き手=小塚かおる/日刊ゲンダイ

▽能條桃子(のうじょう・ももこ) 1998年、東京都生まれ。慶応大学大学院経済学研究科修士卒。2019年、若者の投票率が80%を超えるデンマークに留学し、「NO YOUTH NO JAPAN」設立。インスタグラム(フォロワー約10万人)で選挙や政治についての発信、自治体・企業・シンクタンクとの協働などを展開中。22年、政治分野のジェンダー平等を目指し「FIFTYS PROJECT」立ち上げ。2つの一般社団法人で代表理事。同年、米誌「TIME」次世代の100人に選出。

■関連キーワード

最新の政治・社会記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 政治のアクセスランキング

  1. 1

    参院選の候補者が正式に決まらない…国民民主党「玉木執行部vs参院女子」の熱き内部ドタバタ対立

  2. 2

    立憲の消費税0%案「原則1年・食品限定」にこれだけの弊害…国民玉木代表は独自試算で批判連発

  3. 3

    国民民主党が参院選東京選挙区で“台風の目”に…元NHKアナ牛田茉友氏のみならず2人目擁立の狙い

  4. 4

    シリーズ「昭和の亡霊・7つの戦時用語」(79)天皇免責の証言よりも重かった東條英機の「プライド」とは

  5. 5

    自民を除く主要政党が「消費税減税」で完全一致なのに…早期実現を阻む安倍元首相の“大罪”

  1. 6

    滋賀・彦根市長選で“石丸伸二ベッタリ”現職まさかの落選…「再生の道」に“NO”突き付けられ都議選と参院選に黄信号

  2. 7

    消費税「食品ゼロ1年間」を参院選公約に…寄り切られた立憲野田代表の油断ならないバーター懸念

  3. 8

    「トランプ関税は不良のカツアゲ」…米国で立憲議員シンジ・オグマの国会質問動画が大バズりのナゼ

  4. 9

    石破内閣15大臣「GW外遊」に血税9億円超! 物価高で野党が異例の「反対」も前例踏襲でイケイケの無神経

  5. 10

    小泉進次郎氏がドヤ顔“訪米”→現地シンポで「MAGA」礼賛…不自然なほどハイテンションな理由

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    佐々木朗希「スライダー頼み」に限界迫る…ドジャースが見込んだフォークと速球は使い物にならず

  2. 2

    永野芽郁「キャスター」視聴率2ケタ陥落危機、炎上はTBSへ飛び火…韓国人俳優も主演もとんだトバッチリ

  3. 3

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  4. 4

    風そよぐ三浦半島 海辺散歩で「釣る」「食べる」「買う」

  5. 5

    広島・大瀬良は仰天「教えていいって言ってない!」…巨人・戸郷との“球種交換”まさかの顛末

  1. 6

    広島新井監督を悩ます小園海斗のジレンマ…打撃がいいから外せない。でも守るところがない

  2. 7

    インドの高校生3人組が電気不要の冷蔵庫を発明! 世界的な環境賞受賞の快挙

  3. 8

    令和ロマンくるまは契約解除、ダウンタウンは配信開始…吉本興業の“二枚舌”に批判殺到

  4. 9

    “マジシャン”佐々木朗希がド軍ナインから見放される日…「自己チュー」再発には要注意

  5. 10

    永野芽郁「二股不倫」報道でも活動自粛&会見なし“強行突破”作戦の行方…カギを握るのは外資企業か