世にもおぞましい都知事選と総裁選 東京からも国からも自民党の一掃を

公開日: 更新日:

 自分の都合だけでメディアを利用し、不都合な事実には真正面から向き合わない。7月7日の投開票まで残り4日となった東京都知事選で「一歩リード」と伝えられる現職の小池知事とは、そういう人である。

 ライバルの蓮舫候補が連日「テレビ討論会」を呼びかけるも、小池は「公務」を口実に無視。学歴詐称疑惑や外苑再開発、関東大震災で虐殺された朝鮮人への追悼文停止──聞かれたくないことは山ほどあっても全て小池の自業自得だ。現職知事が討論から逃げ回るなんて、あり得ない。

 小池陣営には東京青年会議所が主催した討論会のトラウマもあるのだろう。蓮舫が外苑再開発の業者からのパー券購入の有無を問いただし、石丸伸二候補が「イエスかノーで」と詰めても、小池は直接答えず「法律にのっとり……」とゴマカシを繰り返したアレだ。この映像はSNSで猛拡散し、小池には大痛手。本人も「二度と同じ土俵に立ちたくない」と居直っているに違いない。

 選挙前半に小池は街頭活動を控え、都内10カ所以上の現場を視察。そのたび都庁記者クラブの面々を従え、「都政最優先」のように演じてみせた。「公務」と「政務」の混同に手を貸すメディアもどうかしているが、小池の意のままに切り取られた映像は単なるプロパガンダだ。近代以降、数多くの独裁者が好んだ印象操作の手口である。

 小池が「エジプトの父」と公言し、かの国の軍部独裁政権下で情報相を務めた故ハーテム氏も「アラブ世界のプロパガンダの父」と呼ばれていた。小池の狡猾な自己演出能力は「父」譲り。告示日は西新宿の狭苦しい選挙事務所に乳児連れの母親を「大量動員」して第一声。異様なムードに泣き出す赤ちゃんもいたが、ニュース番組は“赤ん坊をあやしながら挨拶する小池”という狙い通りの「画」を伝えた。

■古今東西の独裁者と共通する女帝の危険性

 ヒトラー、毛沢東、スターリン……。独裁者は好んで自己宣伝に子どもを利用してきた。人を「敵か、味方か」で分別する。えり好みの激しさもまた、多くの独裁者と小池は同類だ。2017年の「希望の党」騒動で飛び出した「排除」発言以降は会見の場で「敵」認定したフリー記者を絶対に指名せず排除しているのが、いい例だ。

 都議会でも都政与党の公明、都ファ、すっかり仲良しの自民の都議ら「味方」の質問には応じるが、立憲民主や共産の都議ら「敵」の質問は答弁拒否。極めて個人的な学歴詐称疑惑に矛先が向くと、小池に代わって都政策企画局の女性局長が「知事がこれまで議会などさまざまな場面でお伝えしてきたとおりでございます」と繰り返す始末だ。

 独裁気質に誰しも嫌気が差して、学歴詐称工作に加担したと懺悔告白した元側近の小島敏郎氏をはじめ、「身内」がどんどん離れていく。16年知事選で都議として小池を支援し「ファーストペンギン」と称された音喜多駿・現参院議員(日本維新の会)にまで見限られるとは相当なものだ。

 4年前には小池の新型コロナ対策パフォーマンスに翻弄された都の福祉保健局職員が1年で80人も退職。知事直轄の政策企画局では、この1年の間に約30人が辞めた。身代わり答弁の女性局長も今年3月末に退職している。都庁内では建設的な意見を具申しても小池の考えに沿わないと、あっさり左遷されるとの猜疑心が広がり、職員の多くが小池の思い付き政策や懲罰人事にホトホト参っている。

最新の政治・社会記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 政治のアクセスランキング

  1. 1

    高市自維政権で進む病人・弱者切り捨て…医療費削減ありき「病床11万床潰し」すでに3党合意の非情

  2. 2

    自維連立に透ける実現不能の“空手形”…維新が「絶対条件」と拘る議員定数削減にもウラがある

  3. 3

    高市新政権“激ヤバ議員”登用のワケ…閣僚起用報道の片山さつき氏&松島みどり氏は疑惑で大炎上の過去

  4. 4

    維新の「議員定数1割削減」に潜む欺瞞…連立入りの絶対条件は“焼け太り”狙った露骨な党利党略

  5. 5

    自維連立が秒読みで「橋下徹大臣」爆誕説が急浮上…維新は閣内協力でも深刻人材難

  1. 6

    吉村代表は連日“ドヤ顔”、党内にも高揚感漂うが…維新幹部から早くも「連立離脱論」噴出のワケ

  2. 7

    「連合」が自民との連立は認めず…国民民主党・玉木代表に残された「次の一手」

  3. 8

    吉村代表こそ「ホント適当なんだな」…衆院議席3分の1が比例復活の維新がゾンビ議員削減と訴える大ボケ

  4. 9

    最終盤の宮城県知事選は仰天の展開! 高市首相応援の現職vs昭恵さん&参政党支援の元自民議員でデッドヒート

  5. 10

    高市新内閣発足 歴史の暗転か超短命か…本性をあらわにした極右政権の正体と今後(前編)

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    佐々木麟太郎をドラフト指名する日本プロ球団の勝算…メジャーの評価は“激辛”、セDH制採用も後押し

  2. 2

    日本ハム新庄監督がドラフト会議出席に気乗りしないワケ…ソフトB小久保監督は欠席表明

  3. 3

    ヤクルト青木“GM”が主導したバランスドラフトの成否…今後はチーム編成を完全掌握へ

  4. 4

    吉村代表こそ「ホント適当なんだな」…衆院議席3分の1が比例復活の維新がゾンビ議員削減と訴える大ボケ

  5. 5

    吉村代表は連日“ドヤ顔”、党内にも高揚感漂うが…維新幹部から早くも「連立離脱論」噴出のワケ

  1. 6

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  2. 7

    ブルージェイズ知将が温めるワールドシリーズ「大谷封じ」の秘策…ドジャース連覇は一筋縄ではいかず

  3. 8

    高市政権は「安倍イタコ政権」か? 防衛費増額、武器輸出三原則無視、社会保障改悪…アベ政治の悪夢復活

  4. 9

    今秋ドラフトは不作!1位指名の事前公表がわずか3球団どまりのウラ側

  5. 10

    亀梨和也気になる体調不良と酒グセ、田中みな実との結婚…旧ジャニーズ退所後の順風満帆に落とし穴