(1)吉田茂元首相は「あんたの親父さんが死んでホッとしたよ」と口にした

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佐藤栄作が堤清二に持ちかけたこととは

 3年後の昭和42年10月、吉田が他界した。それから、さらに半年後の43年春、清二の元に時の総理、佐藤栄作から一本の電話が入った。

「僕は名古屋に出張していて、ホテルのコーヒーショップで朝食を食べていたのです。すると、『東京の佐藤さんという人から電話が入っています』と館内放送で呼び出されました。朝でも夜でも意外な時間に電話が入る時は、大抵よくないことが多かった。しかも、当時、西武百貨店にも佐藤という役員がいたので、会社で何かあったのかと訝りながら電話に出ました。すると、佐藤は佐藤でも総理の佐藤栄作さんだったのです」

 佐藤首相は、吉田邸の購入を持ちかけてきたのだった。

「佐藤総理は『君のところで吉田邸を買わんか』と電話で言ってきたのです。吉田邸を売却して遺族の方に法律に従って財産を分配することにしたので、協力してほしいということでした。父と吉田さんとの関係を配慮し、西武に真っ先に声をかけてくれたということでした。それで僕も二つ返事でお受けしたわけです」

 康次郎逝去のときに語った吉田のブラックジョークが、ジョークではなくなったわけだ。

 相続問題は円満に解決したという。

(松崎隆司/ジャーナリスト)

 ※2012年10月2日に掲載した記事を再編集しています。

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