所有者に成りすまし14億5000万円ダマし取る…ナニワ地面師の古典的な犯行手口
「窓口の職員は免許証の本人が目の前で申請したため、何も疑わなかった。粂は新たに登録した実印が押された偽の臨時株主総会議事録に印鑑証明書を添えて法務局に提出し、不動産会社の登記簿の内容を変更した。こうして1月下旬、粂が不動産会社の代表に就任し、所有者女性は書類上、辞任させられた」(捜査事情通)
その頃、大阪の不動産業者の間では「ミナミの3つの物件が合わせて15億円で売りに出ている」といった話題でもちきりだった。好立地の物件が破格の安さだったからだ。
20代で新代表に就任したばかりの粂は商談の際、3つの不動産を売却することを業者に怪しまれないように、「70代女性所有者の甥」と偽り、「おばと相続で揉めていたが、双方に弁護士が入って話がついた」と言って相手を信じ込ませていた。
昨年2月、福田容疑者、粂容疑者同席のもと、被害に遭った不動産会社の応接室で売買契約が結ばれ、売買代金14億5000万円が現金で手渡された。2月下旬、何も知らない70代女性が、代表を務める複数の法人の登記を上げたところ、1つの法人の名義が変更されていたことから、不動産会社が乗っ取られたことに気付き、警察に相談した。