マー君に読ませたい…吉井理人が語るメッツ移籍1年目“秘話”

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 ヤクルトからメッツに移籍して1年目の1998年、オープン戦が始まったころの話だ。僕は右ヒジと前腕が張り、次第に痛みを感じるようになった。
 メジャー公認球は、当時のプロ野球のボールと比べて大きく重い。それに表面がカサカサして滑りやすかった。

 ヤクルトでの日本シリーズが終わったころからメジャー公認球でキャッチボール。年明けには投球練習もやった。メジャー公認球に慣れたつもりでも、ブルペンで投げるのと実際に打者に対するのとではかかる負担も違う。

 とにかく滑るため、ボールが上ずる。低めに投げようとするあまり、無意識のうちに指先に力が入ったのだろう。普通に投げても前腕の内側が張るが、外側の筋肉にも張りが生じ、やがて炎症を起こしてしまった。痛みがヒドくて、痛み止めの薬を買いに走ったこともある。

 僕は年俸20万ドル(当時のレートで約2600万円)でメッツに入団。試合数と登板イニング数に応じて140万ドル(約1億8200万円)の出来高払いがついていたとはいえ、先発の座も保証されていない。ヒジが痛いからといって、簡単に戦列を離れるわけにはいかなかった。当時の日記には「年齢(32)を考えても自分には休んでいる時間はない」とつづられている。

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