拮抗する準々決勝 試合の決め手になりうる「2つのポイント」
コロンビアは次の試合で地元のブラジルと対戦する。ブラジルには、彼のような勢いのあるFWに苦い経験がある。82年のW杯である。ジーコ、ソクラテス、ファルカンなど黄金の中盤を抱えたブラジル代表は優勝候補とされていた。ところが2次リーグでイタリアのパオロ・ロッシに3得点を挙げられ、2-3で敗れた。ブラジルは決定的なストライカーがいなかったことが最後に響いた。コロンビア戦でも、恐れを知らぬ、ハメス・ロドリゲスが輝けばブラジルは窮地に追い込まれることになる。
さらに、前線にいるストライカーにいかにボールを供給するか――。ドゥンガは拮抗(きっこう)した試合では、中盤で「こぼれ球」をいかに拾うかが大切だと力説する。
「こぼれ球を拾うには、集中すること、そして“読み”が大切だ。中盤の選手が汗をかいて、献身的に動くことで、喜びが生まれるんだ」
ブラジル―コロンビア戦では、筆者がこのコラムでセレソンのキーマンとして挙げていた、中盤の“汗かき”ルイスグスタボが出場停止となる。ルイスグスタボのいない中盤でこぼれ球をどちらが多く拾うか、そしてネイマールとハメス・ロドリゲスという2人の点取り屋の精度――。この2つが試合を決めるだろう。
文・田崎健太(ノンフィクション作家)