著者のコラム一覧
武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

瀬古利彦の師・中村清の没40年に思う昭和のマラソン「キミ、馬も人も同じだよ」

公開日: 更新日:

 5月25日は中村清の没後40年の命日だった。

 前日の午後、青山霊園を訪ねた。瀬古利彦を育て、日本のマラソンを頂点に導いた指導者は大変な頑固者だったが、その情熱なしに瀬古は世に出なかった。瀬古がいなければ中山竹通は現れず、中山の衝撃なしに谷口浩美の世界選手権のメダルもなかった。中村がいなければ、日本のマラソンは宗兄弟で終わっていただろう。

 滞在先のポルトガル・リスボンで訃報を聞いた私は、スポルティング・クラブのモニス・ペレイラに会いに行った。前年のロス五輪で瀬古の夢を砕いたカルロス・ロペスの師は、練習後のシャワーを止めて聞いた。

「No rio(川で)?」

 中村は新潟県・魚野川の釣行中に心臓発作を起こしたのだ。谷川岳を源とする魚野川は5月でも冷たいが、魚籠に12匹のヤマメが入っていた。当時の陸上記者の多くは早逝し、瀬古の本を最初に書いた石井信もそうだった。神田のおでん屋で石井君がけげんな表情をした。

「中村さんはひどいんだよ」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  4. 4

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  5. 5

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  3. 8

    星野源「ガッキーとの夜の幸せタイム」告白で注目される“デマ騒動”&体調不良説との「因果関係」

  4. 9

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  5. 10

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも