強烈な個性のフランスはエースのリベリ欠場でまとまった
フランス─ナイジェリア戦の拮抗した試合を決めたのは19番をつけたポグバだった。セリエAユベントスのリーグ優勝に貢献した21歳のミッドフィールダーが、コーナーキックからGKのはじいたボールをヘディングで決めた。
右サイドに入った小柄なMFバルブエナとポグバのパス交換を見て、松井大輔の言葉を思い出していた。
ぼくは2003年から日本人初の仏リーグ1部プレーヤーとなった元日本代表の広山望を追いかけて、フランスを訪れるようになった。その流れで04年から当時2部リーグだったルマンにいた松井の試合も見ている。松井はフランスと日本の違いについて、こんなふうに話していた。
「フランスは一人一人が強いんですよ。そして役割分担がはっきりしている。ぼくは前を向いてドリブルを仕掛ける。後ろの選手は1対1で抑える。ぼくの役割は攻撃。後ろの選手が抜かれたとしても責任は彼にある」
まさにバルブエナとポグバの関係である。バルブエナは小柄ではあるが、厚い胸板で守備も献身的にこなす選手である。しかし、167センチのバルブエナはリーチも短く、守備には限界がある。ポグバのような長身188センチ、長い足でボールをかき出せる選手が後ろに控えていることが、バルブエナの技術とスピードを引き出すことになる。