「献血」で提供された血液から作られる“クスリ”がある
高齢者の中には、「献血」をしたことがあるという方もたくさんいらっしゃると思います。中には、逆に輸血を受けたことがあるという方もいらっしゃるでしょう。
献血で提供された血液からは、輸血製剤(輸血用血液製剤)が作られます。多くの方が思い浮かべるのが赤い色の輸血製剤ではないでしょうか。赤い色の輸血製剤の多くは赤血球製剤といい、その名の通り主に赤血球を補充するために用いられます。ただ、輸血製剤には他にも血漿(けっしょう)製剤、血小板製剤、全血製剤(これも赤血球が含まれるため赤いです)といった種類があり、体に不足している成分がなんなのかによって最適な製剤が選択されます。
そんななか、献血からはクスリとして用いられるものも作られており、それらをひとまとめにして「血漿分画製剤」といいます。血漿とは簡単にいうと血液から血球成分(赤血球、白血球、血小板)を取り除いたものになります。この中にはタンパク質が含まれていて、そのタンパク質がクスリとして用いられているのです。
その代表的なものとして、「アルブミン」と「γグロブリン」が挙げられます。アルブミンは血液中に含まれているタンパク質の中で最も多いもので、主な役割は浸透圧(水を引っ張る力)を保つことで血管内に水を保持することです。アルブミンが少なくなると、血液の浸透圧が低くなることで血管内に水が保持できなくなってしまい、ひどくなると浮腫(むくみ)や胸水、腹水が出ることもあります。