「備蓄米」放出はアベノマスクと同じ運命をたどる? 発案者も政治手法も一緒の不気味
就任間もない小泉進次郎農相が“店頭価格5キロ2000円台”の政府備蓄米の大量放出を発表したのは5月26日。農協を抵抗勢力に仕立て上げ、コメ価格高騰に果敢に挑む小泉の勇姿に国民世論は一瞬にして舞い上がった。
「郵政や道路公団民営化で喝采を浴び、自民党の政権転落の危機を救った父親(純一郎元首相)の姿を重ねているのかもしれませんね。それに無能の烙印を押されてクビになった江藤(拓)さんの後釜ですから余計に輝いて見える。しかし、コメの需給や価格調整は国策ですから、進次郎さんが農協を悪の権化のように扱うのも筋違いかと。コメを政治ショーのネタにされても困りますし、食料安保に踏み込んだ冷静な議論を期待しています」(農水官僚OB)
とはいえ、残念ながら“店頭価格5キロ2000円”のコメは、今や国民世論の最大の関心事。支持率低迷の石破茂首相が、人気者の小泉を舞台回しに放った乾坤一擲の政治ショーは今のところうまくいっているようだ。
「6月に入ってスーパーの店頭に2000円のコメが山積みされたら、石破・小泉コンビが勝ち誇り、参院選に向けて勢いづくでしょうね。だけど、いくら安いからといって家畜飼料扱い同然の古古古米ですし、口が肥えた消費者が群がり買い漁るとも思えません。当然ながら、味がよくてニーズの高い銘柄米がつられて安くなるはずもないでしょう」とは、農政専門紙記者の見立てだ。つまり、賞味期限切れのコンビニ弁当のごとく、割引しても売れ残れば、最悪廃棄処分になる可能性もあるのだが、そのころには参院選は終わり、世論の関心も薄れているからトガめるものなく、後の祭りというわけだ。