備蓄米放出で異例の手法…「随意契約」に問題はないのか
コメの価格高騰を受けて、政府が備蓄米を「随意契約」で放出する方針を発表しました。入札を経ずに特定の業者と直接契約を結ぶこの手法は、通常の契約とどう違い、なぜ今回適用されたのでしょうか。その背景には、法律に基づく制度と、迅速な市場介入の必要性があります。
政府が随意契約に踏み切る法的な根拠は、「会計法」第29条の3および「予算決算及び会計令」第99条にあります。これらの法令では、原則として国の契約は競争入札で行うと定められていますが、特別な事情がある場合に限って随意契約を認めています。
具体的には、「契約の性質又は目的が競争を許さない場合」や「緊急の必要により競争に付することができない場合」などが該当します。コメ価格の急激な上昇という状況は、まさにこうした例に当たり、市場への迅速な対応が求められる中で、随意契約の活用が正当化された形です。
通常、競争入札には一定の公告期間や手続きが必要ですが、随意契約であれば、必要とされる事業者と即座に契約を結び、備蓄米を流通させることが可能になります。これは、価格が短期間で乱高下する可能性がある農産物市場において、スピード感のある対応を可能にする重要な手段といえます。