筋肉は「体の貯水庫」だ…熱中症予防のために筋肉を鍛えよう
体内に熱がこもり体調を崩す熱中症。体内の水分や塩分のバランスが崩れ、体温調節機能が働かず脱水状態となり、体温の上昇やめまい、頭痛、けいれんを起こす。ときに死に至ることもある怖い病気だ。そんな熱中症対策には、こまめな水分補給と「暑熱順化」と呼ばれる汗をかいて体内の熱を出す機能が重要視される。しかし、それと同時に筋肉量を維持することも忘れてはいけない。しんクリニック(東京・蒲田)の辛浩基院長に聞いた。
人は汗をかくことで体内の熱を放出し、熱中症を防いでいる。汗をかくのに必要なのが体内の水分で、それを多く蓄えているのが筋肉だ。
「筋肉の約75%が水分で、筋肉は貯水庫としての役割があります。つまり筋肉の増強・維持が体内水分量の増強・保持につながり、熱中症を防ぐ助けになるのです」
高齢者は熱中症リスクが高く重症化しやすい。実際、2023年の5月から9月までに全国で救急搬送された熱中症患者数は9万1467人。うち65歳以上の高齢者は5万173人(54.9%)だった。厚労省発表の人口動態統計(確定数)によると、2023年の熱中症による死亡者数は1651人で、そのうち1375人は65歳以上の高齢者が占めている。その理由として、喉が渇いたという自覚が乏しく水分補給のタイミングが遅れるということも挙げられるが、いくら水分補給に気を配っても筋肉量が少なく水分が蓄えられなければ、急激な体温の上昇を防ぐために必要な汗をかくことはできない。高齢者はとくに筋肉量の維持が熱中症対策のひとつであると言っていい。