「聘珍樓」の3度目の倒産は“氷山の一角”か…格安店の乱立で高級中華が苦境に
横浜中華街発祥の高級中華料理店を運営する聘珍樓と関連会社の香港聘珍樓ジャパン、大福の3社が東京地裁から5月21日付で破産手続き開始決定を受けた。負債額は聘珍樓が12億1045万円、香港聘珍樓ジャパンが1億5558万円、大福が60万円の計13億6663万円。横浜中華街の本店ほか東京都内(日比谷店、吉祥寺店)、大阪市、北九州市に計4店舗とカジュアルレストラン形式の「SARIO」を展開していたが、同じく21日に営業を停止した。
聘珍樓の創業は1884年。張姓の華僑が横浜に中国料理店を開業したのが始まり。「現存する日本最古の中華料理店」のひとつで、高級広東料理の名店として人気を博した。1990年代にはテレビ東京系の番組「浅草橋ヤング洋品店」に出演し、「炎の料理人」として人気を集めた周富徳さんが総料理長を務めたことでも知られる。
現社長の林衛氏は、大学を卒業後、クレディ・スイス証券に就職。その後、香港聘珍樓有限公司(香港)に転じ、マネジャー職に就く。2011年5月に香港聘珍樓ジャパンの設立にあたり社長に就任。16年4月に聘珍樓の社長となった。「現在も香港に居住し、日本国内には月に数日、滞在する程度とみられている」(大手信用情報機関)とされる。
実は聘珍樓は過去2度破綻している。「事業譲渡後の新会社の開始貸借がマイナススタートで、当初から大丈夫か、との話がありました」(金融関係者)という。