創造性が高まり、自己効力感が向上する「よそ者効果」
旅行先などで仕事をしていると、思いのほかサクサクと作業が進んでしまうことが珍しくありません。あるいは、アイデアが浮かびやすかったり、固定観念が柔らかくなったり……。みなさんも思い当たる節があるのではないでしょうか。
こうした効果を、「よそ者効果」と呼び、慣れ親しんだ環境から離れて新しい場所で作業すると、創造性が高まり、自己効力感が向上することが示されています。
慣れた環境では、行動や思考が自動化され、脳は余計なリソースを使わないようにします。しかし、新しい環境になると、自動化が働かないため、脳は注意力や問題解決能力といったリソースを使うようになります。すると、いつも以上に脳が活性化し、仕事がはかどったり、アイデアが浮かびやすかったりするというわけです。
こうした効果を示す一例が、インシアードのマダックスとノースウェスタン大学のガリンスキーが行った実験(2009年)です。2人は、海外居住経験のあるアメリカ人学生とない学生に遠隔的連想テストを実施しました。遠隔的連想テストとは、例えば、コテージ、スイス、ケーキといった無関係に見える単語を並べて、共通点を発見させるテストです(先の正解はチーズ)。