下町ボブスレー騒動 ジャマイカが乗りたくない本当の理由

公開日: 更新日:

 韓国・平昌冬季五輪に出場するジャマイカ代表が日本製のボブスレーを採用せず、「下町ボブスレーのプロジェクト推進委」(東京都大田区)が契約違反として、ジャマイカ側に6800万円の損害賠償を請求する――と騒動になっている問題。何だか、南国気質のジャマイカのわがままな“ドタキャン”のように見えるが、そうではないらしい。

「下町ボブスレー」の開発は、大田区の産業振興の一環で2011年秋に始まった。中小企業がボブスレーをゼロから開発する――との試みで、計画が一気に動きだしたのが、13年2月の安倍首相の施政方針演説からだった。

「東京都大田区の中小企業を経営する細貝さんは、仲間とともに、ボブスレー競技用ソリの国産化プロジェクトを立ち上げました。今こそ、世界一を目指していこうではありませんか」

 プロジェクトの仕掛け人で推進委のGMを務める細貝淳一氏が後にインタビューサイト「カンバセーションズ」で「総理が個人の名前を出すというのはよほどの覚悟がないとできないこと。これで安心してついてくれたスポンサーも結構あった」と振り返った通り、演説した4カ月後の6月には下町ボブスレーは中小企業庁の「JAPANブランド育成支援事業」に採択され、支援に名乗りを上げるスポンサーも相次いだ。確認できるだけで経産省から最大2000万円、大田区から1000万円の補助金が出ているとみられる。まさに首相の“鶴の一声”で、役所が全面バックアップ。一気に“国家事業”となったのだ。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高市政権の物価高対策「自治体が自由に使える=丸投げ」に大ブーイング…ネットでも「おこめ券はいらない!」

  2. 2

    円安地獄で青天井の物価高…もう怪しくなってきた高市経済政策の薄っぺら

  3. 3

    現行保険証の「来年3月まで使用延長」がマイナ混乱に拍車…周知不足の怠慢行政

  4. 4

    ドジャース大谷翔平が目指すは「来季60本15勝」…オフの肉体改造へスタジアム施設をフル活用

  5. 5

    実は失言じゃなかった? 「おじいさんにトドメ」発言のtimelesz篠塚大輝に集まった意外な賛辞

  1. 6

    佐々木朗希がドジャース狙うCY賞左腕スクーバルの「交換要員」になる可能性…1年で見切りつけられそうな裏側

  2. 7

    【武道館】で開催されたザ・タイガース解散コンサートを見に来た加橋かつみ

  3. 8

    “第二のガーシー”高岡蒼佑が次に矛先を向けかねない “宮崎あおいじゃない”女優の顔ぶれ

  4. 9

    二階俊博氏は引退、公明党も連立離脱…日中緊張でも高市政権に“パイプ役”不在の危うさ

  5. 10

    菊池風磨率いるtimeleszにはすでに亀裂か…“容姿イジリ”が早速炎上でファンに弁明