山下泰裕氏IOC委員就任へ 薬物問題ロシアとの板ばさみ懸念

公開日: 更新日:

柔道愛好家のプーチン大統領と深い親交

 人事交渉には成功したJOCだが、山下会長のIOC委員就任は果たして、IOCそのものにどれだけ影響を与えられるのか。

「本来、JOCとIOCに上下関係はありません。にもかかわらず、今やJOCはIOCの言いなり。マラソンの開催地問題でも、JOCは我関せずといった姿勢を貫き、陸連や強化委員会に丸投げ状態だった。その陸連が集約した要望もIOCには届かず、そもそもJOCから意見を伝えるというような関係性が築かれていない。『IOCの決定は絶対』とはいえ、パイプの弱さを改めて露呈しました。マラソンの一件でIOCに掛け合うこともなかった山下会長がIOC委員になったところで、IOCとの関係性がどれだけ改善されるのかは、はなはだ疑問。IOCにとって“影響”はないでしょう。イエスマンだからこそバッハ会長が推薦したのかもしれません」(元JOC関係者)

 ドーピング問題で揺れるロシアとの関係性も懸念される。山下会長は柔道愛好家であるプーチン大統領との親交が深く、先月にはプーチン大統領が山下会長に対して「ロシア名誉勲章」を授与する大統領令に署名。一方で、ロシアはWADA(世界アンチドーピング機関)から、145選手ものデータ改ざんがあったと判断され、昨9日に同選手団を4年間、主要国際大会から追放する処分が決まった。当然、東京五輪への参加も認められず、潔白を証明した選手のみが個人資格で出場することになる。IOCもWADAの判断に賛同しているため、山下会長は日本としての意見が言えないどころか、ロシアとの板挟みになる可能性もある。

「新米IOC委員」の船出は前途多難になりそうだ。

【写真特集】狂言師の野村萬斎さんらが東京五輪・パラリンピック開閉会式の制作に

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    花巻東時代は食トレに苦戦、残した弁当を放置してカビだらけにしたことも

    花巻東時代は食トレに苦戦、残した弁当を放置してカビだらけにしたことも

  2. 2
    「ダルよりすごい」ムキムキボディーに球団職員が仰天!プロ3、4年目で中田翔より打球を飛ばした

    「ダルよりすごい」ムキムキボディーに球団職員が仰天!プロ3、4年目で中田翔より打球を飛ばした

  3. 3
    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗

    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗

  4. 4
    22年は尻回りが推定1.5倍に増大、投げても打ってもMLBトップクラスの数値を量産した

    22年は尻回りが推定1.5倍に増大、投げても打ってもMLBトップクラスの数値を量産した

  5. 5
    若林志穂が語った昭和芸能界の暗部…大物ミュージシャン以外からの性被害も続々告白の衝撃

    若林志穂が語った昭和芸能界の暗部…大物ミュージシャン以外からの性被害も続々告白の衝撃

  1. 6
    橋下徹氏&吉村知事もう破れかぶれ?万博の赤字に初言及「大阪市・府で負担」の言いたい放題

    橋下徹氏&吉村知事もう破れかぶれ?万博の赤字に初言及「大阪市・府で負担」の言いたい放題

  2. 7
    WBCの試合後でも大谷が227キロのバーベルを軽々と持ち上げる姿にヌートバーは舌を巻いた

    WBCの試合後でも大谷が227キロのバーベルを軽々と持ち上げる姿にヌートバーは舌を巻いた

  3. 8
    大谷の2023年は「打って投げて休みなし」…体が悲鳴を上げ、右肘靭帯がパンクした

    大谷の2023年は「打って投げて休みなし」…体が悲鳴を上げ、右肘靭帯がパンクした

  4. 9
    「横浜愛」貫いた筒香嘉智 巨人決定的報道後に「ベイスターズに戻ることに決めました」と報告された

    「横浜愛」貫いた筒香嘉智 巨人決定的報道後に「ベイスターズに戻ることに決めました」と報告された

  5. 10
    河野太郎大臣「私は関わっておりません」 コロナワクチン集団訴訟で責任問う声にXで回答…賛否飛び交う

    河野太郎大臣「私は関わっておりません」 コロナワクチン集団訴訟で責任問う声にXで回答…賛否飛び交う