著者のコラム一覧
武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

五輪マラソンの札幌移転 IOCが「高飛車」だった歴史的背景

公開日: 更新日:

 東京オリンピックのマラソンコースが札幌に移った騒動で、何となくしらけてしまった。小池都知事をはじめ多くの人はその手続きにプリプリ怒り、“上から目線”だ“高飛車”だと苛立った。なぜ高飛車だったのか――。

陸上競技ではない

 5日に開かれた日本陸連強化委員会の会見で、瀬古利彦リーダーの言葉が印象的だった。

「このままではマラソンがオリンピックから外されると思った」――。これは世界を走った日本のエースならではの実感なのだ。

 瀬古の全盛期の80年代、ヨーロッパのほとんどの指導者は「マラソンは陸上競技ではない」と言い切っていた。それには背景がある。

 競歩とマラソンの起源は室内観戦競技だった。1860年、負けた方がアメリカのボストンからワシントンまでの478マイル(770キロ)を10日間で歩くという賭けが行われた。これがペデストリアニズム(徒歩競走)の始まりで、何が面白かったのか、ニューヨークの屋内スケートリンクで催される6日間レースは常に満員で寝泊まりする客もいた。歩いても走ってもよく、歩く方が長い距離をカバーできたようだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・梅野がFA流出危機!チーム内外で波紋呼ぶ起用法…優勝M点灯も“蟻の一穴”になりかねないモチベーション低下

  2. 2

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  3. 3

    「高市早苗首相」誕生睨み復権狙い…旧安倍派幹部“オレがオレが”の露出増で主導権争いの醜悪

  4. 4

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  5. 5

    国民民主党「選挙違反疑惑」女性議員“首切り”カウントダウン…玉木代表ようやく「厳正処分」言及

  1. 6

    時効だから言うが…巨人は俺への「必ず1、2位で指名する」の“確約”を反故にした

  2. 7

    パナソニックHDが1万人削減へ…営業利益18%増4265億円の黒字でもリストラ急ぐ理由

  3. 8

    ドジャース大谷翔平が3年連続本塁打王と引き換えに更新しそうな「自己ワースト記録」

  4. 9

    デマと誹謗中傷で混乱続く兵庫県政…記者が斎藤元彦県知事に「職員、県議が萎縮」と異例の訴え

  5. 10

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず